第２７話 課された謎 ページ29
「のう柳生、
お前さん、図書室に行く用はないか？」
「…何ですか仁王くん。
また私に頼んでも、
本は返してあげませんからね？」
「紳士なんじゃろう？
なら、このぐらいの頼みも」
「ダメです。」
柳生にあっけなく拒否され
仁王は面白くない、といった顔をして
チラリと、隣を見た。
仁王は柳生の机の上から本を取ると、
ひよりの机の上に本を差し出した。
「え……」
突然本を出されたため、
ひよりは驚いた顔して2人を見上げた。
「お前さん図書委員か？
すまんがこの本、返してはもらえんか？」
「仁王くん？！
貴方、人をつか」
「良いよ、別に。」
「サンキュ」
ひよりは仁王から本を受け取ると
机の中にしまった。
柳生が「え？」とした顔で固まっていると
仁王が柳生の肩に手を置いた。
「お前さんよりも、よほど紳士じゃな。」
口角を上げ、鼻で笑うと
仁王は教室を出て行った。
「なにが言いたいんですか仁王くんは…」
「ねえ」
「はい、なんでしょうか？」
横を向くと、机の上に
一枚のしおりが置かれた。
よく見ると、そこには何か
言葉が書いてあるようだ。
「ペテン師は欺けても、
言葉だけでは欺けないものはなーんだプリッ」
「それ、さっきの人のでしょ？
渡してきなよ、この本返すから。」
「わざわざありがとうございます。」
柳生はそこに書かれた言葉をじっと見つめ、
仁王から出されたその「謎」の意味を
考えることにした。
それは、
柳生だけではなかった。
ペテン師は騙せても、
言葉だけでは騙せないもの？！
なにそれ……
頬杖をついて、
頭の中に浮かんでくる言葉を一から並べる。
なぞなそとは、
頭が良ければできるものではない。
確かに頭が良い方が有利だが、
発想力の自由も必要とされる。
ひよりの場合は、発想力はそこそこ良いが
そこまで物事は捻らない性格なため、
なかなか浮び上がらないのだ。
「言葉だけ……言葉、ことば…」
呪文のように
同じことばを何度も繰り返してみるが
やはり、それと言った答えに辿り着かない。
「なんか、ムシャクシャする……」
解けない問題に、
歯がゆさを感じた、この日＿＿＿＿
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作者ホームページ：なし 作成日時：2015年10月25日 21時
