理由その１０ ページ10
「白石くんは悠のことどう思ってるん？」
またこの質問
なんでいつも、聞かれるんや？
「俺はあいつなんて眼中にない
ただのうるさい女やな。」
俺の言葉に、
小春の眼鏡が曇る
その場の空気が一瞬凍りつく
「…白石くん。」
「な、なんや？」
「それ、本人に言うたらあかん。」
ユウジまで、口を出してきた
言うなって今更言われても
「白石くん、
もっと周り見たほうがええんとちゃう？」
「周り？」
「そうや。
それに気づかんかったら後悔しまくりやで？」
「小春ー、そろそろコートに行かんか？」
「そやねー。
ほな、お先に行きますからね。」
小春たちが先にテニスコートへ向かい
俺も少ししてからテニスコートへ行く
「白石くーん！！！」
曲がり角で突進され、
変なところにパンチが入った
「し、白石くん大丈夫？！
うち、変なところにぶつかった？？」
「ここ？」と聞いてくる部分が
ちょうど痛い部分で、声が出ないほど痛い
「痛いから…触らんで…」
「白石くん！ホンマにごめんな？」
俺の言葉が聞こえてないんやろうか？
「痛い」言うとるやんか！
痛い部分を摩り、顔を上げると
男子生徒と目があった
「なあ、あれ。」
「うわっ…あの噂、ホンマやったんやな。」
ひそひそ話をしているが、
何を言っているのかはわかる
「ホンマに俺思うんやけど、
小鳥遊と白石が付き合うか？あの白石やで？」
「どう考えても、ありえへん。
脅されてんのとちゃうか？
あんな平凡なやろうとくっつくなんてホンマにありえへんな。」
けたくそ悪い
ホンマにけたくそ悪い
なんで俺がそないなこと言われないとあかんのや
小鳥遊がモテるから俺はありえへん？
「あれやろ？
白石のやつ、女よけのために付き合うとるんやろ？」
「あいつやったらやりそうやな、
小鳥遊もよう付き合うとるわ。」
先程から空気も読まずに質問していた悠の腕を掴む
「へ？」
「送ってく。」
「え？え？？白石くん、頭どないした？」
向こうにいる男達に
聞こえるような大きさでもう一度いう
「彼女のこと送っていくのやなんて、
当たり前のことやろ？」
噂ならば、その噂をホンマにしてもええよな？
なんで俺が「あの」なんて言われるんやろなあ？
俺はこのあと後悔する
いくらなんでも、“カレカノ”という言葉を
口に出すんじゃなかったんやと後悔する
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作者ホームページ：なし 作成日時：2015年7月10日 23時
