検索窓
今日:9 hit、昨日:5 hit、合計:72,777 hit

理由その46 ページ46

「……なんでここが分かったの?」



「修ちゃんが教えてくれたんや。
ちゃんと別れも言えへんかったし。」



「後悔してる。」と言うと
「そっか。」小さな声で答えた




「……あの手紙、捨ててくれた?」



「え?」



「あんなの重みになるだけやから、
とっとと捨ててええんやで?」



「小鳥遊……」




「駄作やから。」彼女は笑う
でも、また直ぐに悲しげな顔に戻る




「なあ、小鳥遊。」


「ん?どないした?」




白石は鞄の中から
手紙を取り出した




「フフッ、捨ててええのに。」



「捨てられへん!」




突然、白石が声を荒げ
悠は目を瞬かせる。




「捨てられへんっ…
ホンマのお前の気持ち、捨てられへん…」




「白石くん…ホンマにありがとう。」




小鳥遊は俺を見て
優しく微笑んだ


その笑顔は今の俺には辛くて
目を逸らす





「…ここじゃなんだから、
部屋行って話しましょう?」




看護師さんは二人に笑いかけ、
悠が入院している部屋まで
向かった。









「じゃ、ごゆっくりな?」




看護師は気を使って席を外した。





暫くしても話し出さず、
お互い口も聞かずに
時間だけが過ぎていくように感じる。





「白石くん?」




未だ俯いていた白石に声をかけた。




「…小鳥遊、
お前戻ってくるよな?」




尋ねられれば俯いてしまう





「俺はな、ずっと嘘ついてた。
小鳥遊のことが好きやないって…」





ホンマは「好き」真正面から言われて
恥ずかしいけど嬉しかった



どないなに突き放しても
いつも俺を見ててくた






「俺が好きやないって言ったら、
ずっと傍にいてくれる気がして…」



でも、もう逃げるのはやめや
俺ごっつ格好悪い








細くて小さな小鳥遊の指を
俺は握った





「し、白石くん?!」




顔色が悪かったのに
直ぐに真っ赤になった





「俺な、U-17から招待されたんや。
その合宿日は、もうちびっとで始まる。
…せやから、早く体治して
俺のとこ、見送りに来てくれへん?」




「っうん、早く体治すね。」




目から涙が溢れた






「…じゃあ、今日は帰るな。」



「うん、またいつか来たって。」






病室を出る際、
俺は「また来る」とだけ言った。






「…小鳥遊すまんな。
今度、会うときには絶対言うからな。」





だから、
だからはよ戻ってきてな





俺、待っとるで

最後の理由→←理由その45



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (92 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
56人がお気に入り
設定タグ:テニスの王子様 , テニプリ , 白石蔵ノ介   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者ホームページ:なし  作成日時:2015年7月10日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。