嘘の理由【白石蔵ノ介】 (ページ41)

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理由その４１ページ41

俺のトコにかかってきた一本の電話
それは悠の家からやった

俺は全速力で病院へ向かい
手術室の前までやってくると

椅子に座って泣いとる京極と
ただ呆然と立ち尽くしとる蔵がいた

「おい蔵！
お前…これどういうことなんだ？！
悠はどうして…」

白石は顔を俯けた

「おい白石！」

謙也が胸ぐらをつかむと
奈央が慌てて止めに入る

「謙也くん落ち着いて！
今は……怒る場合やないでしょ？」

「…っ」

俺は下唇を噛み締め
掴んでいた手を下ろした

俺は黙って椅子に座った
１０分、２０分と時間が過ぎていく

３０分が立って俺は手術室のランプを見た
まだ赤く点滅していて
消えそうにはない

「…悠。」

何分たったか分からない
ふと、謙也が顔を上げるとランプが消えた

そして手術室の扉が開いて
医者が出てきて、一言

・

「ごめん…
白石には言わない約束だったちかい
俺は守れなかった… 」

悠は首を振り
千歳に微笑んだ

「別にええよ。
千歳くんには約束って言ったけど、
ホンマは心の底から来て欲しかったのかもしれへん。
白石くんにお見舞い…」

千歳くんが教えても、
来てくれへんと思ってた。

やから折角、
用意してたのに…

やっぱり白石くんは優しいね。

ため息をついて
机からある物を出した

「さて。
うち今からしなきゃいけへんことがあるから、
千歳くん外に出てもろててもええ？
ちびっと…時間がかかるから、
用事があるなら帰ってもええんやけど…」

「了解。
じゃあ、１時間くらい…散歩してくる
それまでにば用事、済ませてくれれば良いから。」

扉は静かに締まり
部屋には静寂が訪れた

「…よし！
ケツに…もうちびっと頑張ってみようかな。」

うちだってやる時はやる！
これでやりたいことも言いたいことも、
忘れへんようにしとかなきゃ

「謙也や白石くんに、
ちゃんとお礼言いまへんといけへんしね。」

うち、もっと早くに
腹くくっておけば良かったのかもね。