理由その４０ ページ40
扉の向こうからは
子供たちの声がする
「あ！小春？
見てみて、うちな〜三つ編みに……」
「小鳥遊…お前っ…」
白石を見ると視線を逸らした
テーブルをしまい、布団を頭までかぶる
近くまで寄ると
「来ないで！！」泣きそうな声で言われた
「なあ兄ちゃんどなたはん？」
「悠の恋人？
それとも友達なの？」
小さな少年二人が白石を見上げていた
白石は少年たちに視線を合わせ
「ちゃうわ。」とただ一言
その時
ぴくりと悠が動いた
「俺はちゃうで。」
「やあなんで姉ちゃんのトコ来たの？
それに、姉ちゃんはなんで兄ちゃん見て
泣きそうな顔したの？」
「それは……」
子供は容赦なく訪ねてきて
言葉を探して遠まわしに言おうとしていると
「うちが好きな人やから。
何度気持ちを伝えたって、
うちの事は眼中に入ってなかったけどね。」
無理に笑顔を作ったせいか
頬が引きつってしまう
「悠の事好きやないの？
いつも明るくて笑顔で、楽しい人なのに。」
「海くん、人には人の感性がある。
やから別にもうええんだよ。
白石くんのことは。」
「小鳥遊…」
「やからお願い白石くん、帰って欲しいの。
それで、もうここには二度と来ないで。
今度会った時、うちがおかしくなりそうやから…」
肩を震わせ、声も震えていた
布団には涙で水玉模様ができている
「白石くんはオノレのっ………」
「お姉ちゃん？！」
すると、
突然悠が過呼吸を起こし始めた
「小鳥遊！しっかりしろ！
看護師はん、呼ぶからな！」
ナースコールへと手を伸ばすと
細い腕が白石の腕を掴む
「大丈夫やからっ…
うちのことは放っておいて欲しい。
せっかく、奈央に…奈央にっ…」
「小鳥遊！！」
なんでこないな時に…
体が動かないの？
白石くん、うちのことなんてどうでもええよ…
早く奈央に…奈央に伝えてこなきゃ…
せっかくうちと別れたんやから、
ええ加減オノレの気持ちに正直になってよ…
白石くん＿＿＿＿＿＿＿＿
「小鳥遊―――!!!」
白石君の声が
遠くの方で聞こえた
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作者ホームページ：なし 作成日時：2015年7月10日 23時
