理由その１１ ページ11
「フンフフーん」
スキップをしながら
俺の前を歩く小鳥遊
「はあ…」
練習終わりに、
自分の家ではなく小鳥遊の家に向かう
いつもは送らないはずの白石だが、
先ほど自分で「送る」と言ってしまったため、
疲れている足にムチを打って歩かせる
「白石くん！！
もうすぐでうちに着くで。」
「ああ、分かった。」
欠伸をして空を見上げれば
空一面オレンジ色の夕焼け
「オレンジ…そうや、カブリエルの」
「白石くん着いたで！！」
小鳥遊は俺の腕を引っ張る
送るだけのはずやったのに、
なんで家まで入ることになってるんや…
「ちょ、ちょっと待て！
ここがお前の家なんか？」
小鳥遊が自分の家やと言っておるのは、
学校にやや近場にある
平屋の大きな家やった
「そうやで！
うちな、ばあちゃんと暮らしてるんや！」
そう言って俺を家の中に入れる
ホンマに色々と急すぎるわ…
「ばあちゃんただいま！！
お客さん連れてきたで！」
祖母「…あら、ホンマやね。
悠ちゃんのお友達やな？」
「ばあちゃん違うで！
彼氏やで！」
「違う」と言おうとしたが、
否定できる術もなく、「まあ」と曖昧な答えを言った
「ごめんください。」
「謙也？」
玄関から謙也の声が聞こえると、
悠は早足でそちらまで向かう
「謙也くんが来てくれたんやね。
あの子はほんまにええ子やわ。
毎日遊びに来てくれはるんやで？」
「えっ…？」
謙也は俺の顔を見て驚いた
「なんや、蔵
お前がここにおるなんて。」
「ほんの少し、事情があるんや。」
「謙也は何か飲む？」
「や、大丈夫やで。」
謙也が来てからさらに上機嫌になった
そう感じる気がする
なんや、
だったら俺じゃなくてもええやんか。
「蔵？」
白石は荷物を持ち、玄関へと向かう
その白石に気づいた悠も歩いてくる
「白石くん、うちも送」
「別に送らんでええ。
一人で帰りた気分なんや」
白石が後ろを見ると、
何か言いたげな表情の悠
白石に気づくと、
無理に笑顔を作って、手を振っていた
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作者ホームページ：なし 作成日時：2015年7月10日 23時
