茶店でレスカ、ご一緒に。2

48 tanigawa ページ1

「…ちょ、今井さん…声でかいとAさんに聞かれますよ…」


今井さんに耳打ちでそう伝える。



「ハッ！！！！し、しまったぁ……！！…せ、セーフか……？？」



でた。

ほぼアウトな時、130%の確率でセーフか聞いてくるやつ。



「や、知りませんけど…気をつけましょ、今井さん」

「そ、そうだナ…嫌われちまったら俺は生きてけね〜ゼ……」




そういって一旦落ち着きを取り戻し、
肩をすくめる今井さん。



なんていうか、ほっとけないんだよぁ…
この人。







俺自身、今井さんとAさんを応援していないわけではない。




今まで今井さんは散々な青春を送ってきた。


赤坂理子には振られ、

女子の前で恥をかかされ、

成蘭のスケバンには利用され、

文通相手の前でもまたやらかした。


俺がいうのもなんだが、
つくづくついてない。


このまま今井さんの青春が幕を閉じるのではないかとヒヤヒヤして、ナンパに誘ってみたり、なにかと女子との接点を持たせようとしてきた。


……まあどれもこれも今井さんがダメにしてるケド。


しかしだ。

そんな今井さんにやっと訪れた春。


Aさんとあの日、
茶店で出逢わなければ……


きっとこれは運命なんだ、
俺が全力でサポートしないとまた今井さんのことだから、この出逢いも散らしてしまう。


Aさんは悪い人じゃないし、
是非とも二人には幸せになってほしい。





今まで一番近くであんたの生き様を見届けてきたのは俺だ。


どんだけ辛く苦しい思いをしても、
何故だか報われた試しがなかった。


結果、いつもロクなことはなかったけど…


この人のやることには、いつも誠意があった。

まっすぐなその瞳は、ずっと変わらなかった。


俺はこの人が世間に"男、今井勝俊"と認められるその日まで。


必ず隣にいるって、あの日誓ったんだ…



だから、俺は今日もあんたについていく。




気付いてないかもしれないけど、
ステキな人なんだよ、あんたは。




今井さん。





そろそろ、
今までの努力が報われてもいいんじゃないっすかね。






男、谷川安夫。





全力で今井さんの幸せを願います。

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