もしも、喫煙者だったなら ページ2
────呪術高専って、禁煙じゃないの？
一年生で任務へ向かうため、校門へと歩いていたのだが……。
五条先生が校内でタバコを吸ってるのを見つけて、私は眉を顰めた
街で先生がタバコ吸ってるのは見たことあるけど、ここ山だし、学校も木製だし、山火事とかになったら大変じゃん。
「あのー、五条先生？」
私は恐る恐る五条先生に声をかける。
「ん？ 何？」
「校内禁煙ですよね？ 何してるんですか？」
「吸ってんの」
「それは、見ればわかります」
「一本いる？」
「最低ですね」
「さすがに冗談」
そんな会話をした後、五条先生は口角を上げているのが目につく。ほんの少し流れる沈黙。
「……タバコって美味しいですか？」
私は聞く。
「んー、秘密」
「へぇ……」
「教えてあげてもいいけど、君が吸いたくなっちゃ困るし。
……それに、僕もタバコの味、すごい好きなわけじゃないからさ」
「え！？ そうなんですか？」
じゃあ、なんで……
「……理由聞きたそうな顔してるけど、何でもかんでも人に聞いてばっかじゃダメ。って学校の先生に習わなかった？」
「少なくとも五条先生からは習ってません」
「あれ？ おっかしいなー」
アハハと笑う五条先生。私は五条先生が何かを隠したいのかもしれないと薄々気づいていた。
「ま、もう理由はいいですけど、受動喫煙なんて言葉もありますし、吸う場所は考えましょうね？」
「はいはい、わかりましたー」
私は「もう」と呟き、踵を返して歩き出す。
5歩くらい進んで後ろを振り返ると、物憂げにタバコを吸う五条先生がさっきと変わらずそこにいた。
ほんのり鼻を掠めるヤニの匂い。その香りが私は嫌いじゃない。
実は、五条先生がタバコを吸う理由。ほんの少し心当たりがある。
多分、タバコを吸っている時は一人になりたいんだと思う。副流煙を避けて人が寄ってこないから。
何を考えてるのかはわからないけど、過去に想いを馳せたり、教育のことで悩んでるのかもしれない。
もしかしたら、恋のことかもしれない。
ま、タバコを吸う理由も悩みがあるのかも。
真相は“最強”のみぞ知る。
……なんてね？
続く
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作者名：恋糸@モンスター | 作成日時：2021年2月20日 8時
