【A3!】天才ちゃんの化けの皮。2nd

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Settsu side.





ある日の稽古後。
俺は至さんの部屋に訪れていた。









「ったるさぁん！！そろそろクエスト付き合えよ！」





「万里あんま怒鳴んないでよ、これからが楽しみなんだから。」







この時間帯は大体やるゲームが決まってる。
その共闘をしに来たのに…至さんは、ずっとパソコンで動画を観ていた。
全然気になっていなかったが、至さんがゲームより優先したものが今になって気になってくる。








「何観てんすかさっきから…、…って、由井ちゃん？」





「そ。だから、万里シーな？」





至さんは、指を唇に当てて静かにしろ、というジェスチャーをしてくる。
顔がイイからいちいち癪にさわんだよ…。





ともあれ、俺もパソコンを覗き込む。
至さんが観ていたのは、由井ちゃんが出てるニ◯ニコ生放送だった。








「何これ、製作発表会？
…って、これ俺らが今ハマってるソシャゲのじゃん。」





「そーそ。今度アニメ化するらしくってさぁ、由井さんドルシーやるんだってさ。」





「ドルシー？…ちゃっかり人気キャラとか…すげぇな由井ちゃん。」







そんなことを話しているうちに、放送はどんどん進んでいく。
俺が観はじめたころはキャラ紹介トークだったけど、今度は実際にプレイで対決するらしかった。






…至さんすげぇニヤニヤしてる。







「…至さん、なんでそんなニヤニヤ…」





「まぁまぁ万里、見てなって。」







含みのある言い方をする至さんに促されて、画面を眺める。
…あ、由井ちゃん対プロデューサーとか。
つか、由井ちゃんゲームとかできんのかよ。







《え、私真島さんとですか…？！》




〈いーじゃないですか由井さん！…ホラ、手加減せずにいきますよ！〉






ゲームの状況は、後ろにあるモニターで見ることができた。






ゲームが開始されてすぐはオヤジが優位に立っていた。
…まぁこんなもんだろ。そう思った時だった。







「…上出来。」






「はぁ？！？！」







《真島さんすみません！勝利頂戴しました！》






不利になった瞬間見せた、ありえないコマンドさばき。
普通のやつがしてることを見たことないこの戦い方を…俺はよく知っていた。








「これ至さんじゃねえか！！」






「いやー、由井さん覚よくってさ？色々教えちゃった。」







…別にどうってことない。
至さんが由井ちゃんにゲーム教えてただけだし。




…なのに、なんか腹立つ。

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