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Kibana side
欲が出た、とでも言うべきなのだろうか。
一人眠る彼女の寝顔を見て、酷く胸を掻き毟られたような感覚になった。
時刻は深夜2時30分。
Aのポケモン達もモンスターボールの中で休んでいる。
本来ならボールから出て寝るやつが複数いるそうだが…今日ボールから出ていたのはネイティオだけだった。
そのネイティオもリビングで寝ているから、寝室にはオレさまとAだけ。
外から聞こえるポケモンの声と、Aの寝息だけが部屋に溢れた。
「オマエはなんでこう…オレさまをイイ人だと信用してくれてんだろうなぁ。」
部屋に男がいる。
それもお互い成人している立派な大人。
そんな奴を家にあげて、無防備に眠りにつく。
…いや、まぁ…しんどいっていうのも分かるし、なんならそのしんどさにオレさまが付けこんでいるのんだけど。
それでも、やっぱり。
「オマエにとっちゃ、オレさまは男としてみれねーのかな。
ただのいいお客?それとも、ただのジムリーダー?」
Aに思いを寄せるようになってから数ヶ月。
自分としては、回りくどかったかもしれないけどアプローチはしているつもりだった。
これが本気なんだと気がついてからは、仕事にもより身が入るようになった。いいとこ見せたかったから。
女遊びもやめた。
毎週毎週あの喫茶店に足を運んで、どうしたらオレさまを見てくれるか考えた。
けど、このザマだ。
この前ダンデとオマエのバトルの話を聞いて、オレさまがどんな気持ちになったと思う?
自分の知らない顔を最高のライバルは知ってる、それだけで気がおかしくなりそうな程嫉妬した。
オレさまには懐いてないオマエのポケモンが、ダンデには懐いてることだって。
あのダンデが、オマエに気があるかもしれないんだ。
ダンデだけじゃない。
他のジムリーダーや、あの店の常連はどうだ?
オマエ、旅してたんだろ?その時の知り合いは?
知らないだけで、オマエを目で追ってるやつなんて山ほどいる。
この前オマエとあったホップがどんな話してるか知ってる?
オマエは知らないだろうな。
「…クソ、」
Aの髪の束を持ち上げると、さらさらと溢れていく。
その感覚が、手に入らない此奴の気持ちみたいでしんどくなった。
「…早く、気づけ。
じゃないと、取って喰われるぞ。」
マスク越しに自分の唇を、彼女のそれへと押し付けた。
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椿姫 - はじめまして!すごく素敵な作品でした!続きをとても楽しみにお待ちしてます!応援してます! (2020年8月2日 22時) (レス) id: 98fbe8eed1 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - 初めまして!めちゃめちゃお話が好きです!応援してます! (2020年1月23日 22時) (レス) id: e2cf4e457e (このIDを非表示/違反報告)
ユリカ - 初めまして!この作品が大好きでいつも読ませて頂いています!続きがとても気になります!これからも応援しています! (2020年1月22日 23時) (レス) id: 5d842f36da (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - この作品すごく面白くて好きです!エスパータイプとかフェアリータイプのポケモンが好きだし、キバナさんも好きなので最高です!次回も楽しみにしてます! (2019年12月27日 21時) (レス) id: 935a46d4ab (このIDを非表示/違反報告)
月華姫 - コーヒーの存在だけで、オシャレに感じる素敵なお話でした(´▽`) 次回も楽しみにしています! (2019年12月26日 15時) (レス) id: 8f77e3b2d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおい | 作成日時:2019年11月26日 1時