オフショット！【ポケモン】【キバナ】

021. ページ22

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Kibana side





「で？結局Aとバトルはできたのかよ？」






酒をちびちびと飲みながら考え事をするダンデ。
途中で終わられた話の続きが気になって、オレさまは話の続きを促した。







そうするとダンデは、ゆっくりと瞼を閉じて。
困ったように笑う。







いつもの、あの不敵な微笑みではなくて。
悪いことをしてしまった、とでも言いたげな微笑み。
ダンデのそんな顔、久しぶりに見た気がした。








「できたさ、バトル。
…ただ、そうだな。Aには悪いことをしてしまったとは思っている。




オレに申し訳ない、やめたほうがいいと言っていた彼女をオレは半ば無理やり口説き落としたんだ。
優しい彼女だ、オレがしつこく誘うもんだから折れてくれたんだな。




…うん、男としては情けない姿だったと思うぜ。」






ダンデのその言葉に、オレさまは驚いた。
無論、隣にいたソニアも驚いていたようだった。







「…Aとのバトルはどうだったの？
ダンデくんがそこまで申し訳ないって感じちゃった、そのバトル。」







「最高だったよ。」







「！」








ソニアの問いかけに、ダンデは間髪入れずにそう言った。
オレさまはまた驚かされる。ただ、それはダンデの"最高"という言葉ではなく。







ギラギラとした、男の顔をしたダンデに。








オレさまとバトルするときも、此奴は不敵に笑うんだ。
負けるはずがない、負かしてやる。とでも言いたげな。






確かに楽しんでいるとは思う、オレさまや他のやつとのバトルも。
ただ、こんな顔は見たことがなかった。






…なんだよ、その顔。
なんつー顔してんだよ。






その顔を見て、自分の中でもやもやとした感情が大きくなっていくのがわかった。







ダンデをこんな顔にするバトル…どんなものだったんだ。
Aはどんなポケモンを使った？
どんな顔でバトルしてた？






きっと、此奴はAの色んな顔を見たんだろうな。
オレさまが知らない彼女の顔を。






いつもの、穏やかに可愛らしく…ではなくて。
本気になって、ポケモンと関わる彼女の顔を。






心の底から、自分がそこにいなかったことを悔やんだ。








「…どっちが勝った？」







「すまない、それは言えないんだ。彼女との約束でな。




…ただ、オレはまた彼女にバトルを申し込む。
彼女のバトルをくまなく見て、吸収するつもりだ。




彼女は、最高のポケモントレーナーだったさ。」




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