#worry ページ5
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GIGORO side.
アルコールが回ってふらふらとした足取りで、なんとか独歩と同居している部屋にたどり着く。
体は思うように動かなくて、あたまもぼうっとしていた。
鍵を差し込んで捻ると、ガチャと鍵の解ける音がした。
ドアからは薄く光がこぼれてきて、独歩が帰っていることを教えてくれた。
「どっぽちん、ただいまぁ〜〜〜〜」
玄関から声をかけて、ジャケットを脱ぎながらリビングへ向かった。
リビングでは、風呂上がりの独歩がいつもながらに死にそうな顔でスマホをいじっている。
たぶん、これから寝る予定なんだと思った。
「おかえり一二三。風呂空いてるから先入れ、メシよりさきに。」
「どっぽぉ〜〜〜!!!」
「うわっ?!なんだオマエ!!ってか酒臭…」
スウェット姿の独歩に抱きつくと、最初は酒臭いと言われて引き剥がされそうになった。
けど、しばらくすると観念して大人しくなる。
…俺の頭の中は今、ある女の子のことでいっぱいだった。
それがしんどくて、独歩にすがろうとしている。
「…まさかお前、またこの間のこと考えてるのか?」
「へへ、どっぽちん流石〜〜!!大正解!」
その女の子の、名前も、年も、住んでるところも何をしているのかも知らない。そんな女の子のことで頭を抱えている俺を見て、独歩はいつも呆れていた。
あの出来事から1週間が経った今でも、俺は変わらなかった。
「…あれはどう考えてもお前のせいじゃない。だから気にするなって何度も…。」
「いやー…理屈ではわかってんだけどさ、やっぱり気になるよそりゃあ。ケガさせちったもん、多分…。
痛くなってないかな、とか…跡になってないかなとか…考えちゃうんだよなぁ。」
「一二三…。」
苦手な苦手な女の子。
けれど、どんなに苦手でも気になるのは仕方がなかった。
申し訳なさ過ぎていっぱいになる。
…それに、あの時少しだけ見えた顔。その表情は、俺と同じものだった。
俺に怯えているような、そんな顔。
だから、体が痛いだけじゃなくて、心も傷つけゃきまったんじゃないかと、考えてしまう。
「はぁ〜…どっぽちん、おれっちどうしたらいいのかな…。
わかんないや…。」
怖くて怖くて仕方ないけど、人目あって謝りたい。
突き飛ばしてごめん、怖い思いをさせてしまってごめん、と。
こういう時また、自分が嫌になる。
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作者名:あおい | 作成日時:2018年7月14日 12時