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シャ.ル.ル 2/2---赤縁眼鏡様リク ページ6

「普通の人に生まれてたら」

そんなことを、考えたことがないわけじゃない。

俺たちは子孫を残せないし、
国民が子供のようなもの。
何千、何百と失う命をみてきた。

彼らは、いがみ合い、何も得ずに失うばかり。



君だって、…それが、なければ。


俺は、ある場所に着いた。
まだ静かな早朝。
寝ている街。

「…おはよう」

俺は花束を置く。

「何回目か、もうわからなくなっちゃった」

君はどんな顔をしているんだろう。

「俺のこと、まだ覚えてる?」

静寂が俺ひとりを包む。

「…こんな憂いの気持ちも、君を忘れないためなら
良いよね。たまには、後ろを振り向いたって」

いま、君はどこにいるのか、
見当もつかないけれど。

「何回でも言うよ。好きだった、君のこと」

「でもね」俺は続けた。

「今の俺には、たくさん友達ができたんだ。
たくさんの子どもも。
…それで、色んなことを好きになったの」

ぽつり、雨が降り始めた。
あたりには、誰もいない。

「…君も、この時代に生まれてたら」

言いかけて、はっ、とした。

「…なんでもない」

俺たちは、国。

変わることはできない。

人のように、愛を騙っても、
それは叶わない。

わかってる。

君が消えたから、俺が存在していることも。

…君が消えたのは、俺の存在故であることも。

互いのせいで、今がある。


「…そうだね。君はこんな俺、
らしくないって言うかもね。
こんなこと言ったって、過去は変わらない」


後悔したって、もう遅い。

嫌でも、俺たちは前を向いていかなきゃいけない。

「また、来年くるよ」

俺は笑って、そう言った。



「…何をしている」

後ろを振り向く。

「あ、なんで俺の場所わかったの〜?」

「何となくだ。幾度と逃走されていればわかる」

「ヴェ、すごいね〜」

君のぶんまで、俺たちがこの世界を担うから。


だから、

君はいつまでも、



俺の実らない初恋のままでいてください。

ア.イ.ヲ.ウ.タ.エ 1/2---ホノ様リク→←シャ.ル.ル 1/2---赤縁眼鏡様リク



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サシャ - ありがとうございます!これが癒しです(*´-`) 押せ押せな秘書さん可愛いです!! (2017年12月4日 22時) (レス) id: 5db44fb8df (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - ココ@北米領さん» いえいえ!リクありがとうでした〜! (2017年11月28日 1時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - サシャさん» 遅れて申し訳ない…!できました! (2017年11月28日 1時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)
ココ@北米領(プロフ) - ととさん» ありがとうございます!つられて鳴いちゃう狼メリカ可愛かったです!(*^_^*) (2017年11月19日 7時) (レス) id: 8afcf3da14 (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - サシャさん» 温かい言葉ありがとうございます(T ^ T)なかなか時間が作れず…!少々お待ちくださいませ… (2017年11月19日 1時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hometotop/  
作成日時:2017年9月25日 21時

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