〇ツリメ : 俺は彼氏だから2 ページ29
▽ツリメside
いた...!
小さな背中。あの日、同じように追いかけて告白した。
あの時のように、俺はAを笑顔にしてみせる。
『A!!』
「...っ!」
ビクッと肩を震わせ、ゆっくり振り返ったその顔は、やっぱり泣いていた。
俺の顔を見た瞬間にもっと辛そうな顔をして、Aはこちらへ歩み寄ってきた。
俺はそれに合わせるように近付き、だんだん早くなるAの足より早くAに追いついて、倒れかかるように抱きついてきたAを強く抱き締めた。
『A...どうしたんだよ急に、、別れるとか言うなよ。何かあったなら俺に言ってよ...』
「...うう、みっくん...ぐすっ、」
背の小さなAは俺の胸下に顔を埋めていた。
甘いシャンプーの香りが鼻腔を擽り、戻ってきてくれた事への安堵感で俺まで倒れそうだった。
でも、Aがどうしてこうなったのかを知らないといけない。
Aをこうさせたのは俺なのか、また他の奴なのか。
『A...何があったのか、話せる?』
「...っ、うん」
パッと体を離し、潤んだ瞳で俺を見上げたAは話してくれた。
数日前、塾の帰り道の事。暗い路地裏で数人の男に襲われた事。
警察が来て何とか挿入だけはされなかったけど、裸を見られていろんな所を触られた事。たくさんキスをされた事。
Aは涙を流しながら、何度も何度も言葉をつっかえながら、話してくれた。
俺は震えるAの手を握って、ただ頷いた。
『...A、怖かったよね』
『そばにいてやれなくてごめん』
「みっくんのせいじゃないよ...!」
『でも...悔しい、』
爪が食い込むぐらい強く握り拳を作り、ただ男達を憎んだ。
そして、その時にそばにいなかった俺を憎んだ。
一番大切な人を守れなかったんだ。
『だから男の俺が怖かったのか、』
「...ごめんね、みっくんはあの人達とは違うのに、、」
『いや、俺、情けない...』
やばい、こんなとこで泣いたらAにまた情けないって思われ...
『...A?』
「泣かないで、みっくん...」
一瞬だけ触れた、Aの唇。
小さな背が頑張って背伸びして、やっと届いた。
俺達の、初めてのキスだった。
▷つづく
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ゆちゃん(プロフ) - めろんぱんさん» ありがとうございます!励みになります!引き続く予定ですが、少し時間が空いてしまう事をご了承ください。。 (2018年8月26日 13時) (レス) id: 28a469272e (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - 本当にすごく面白い小説で、大好きです( ; ; )第2弾楽しみにしてます! (2018年8月26日 1時) (レス) id: 0ae7433c54 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃん(プロフ) - ユメさん» 読んでいただいてありがとうございます( ; _ ; )そんな風に言っていただけて嬉しい限りです!少し時間を置いての第二弾となりますが、楽しみに待っていただけたら光栄です! (2018年8月25日 17時) (レス) id: 28a469272e (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - もう読み始めたら一気に最後まで読んじゃいました!ゆちゃんさんの作る話が全て私の好きな小説の感じで、次の話が毎日楽しみです!無理せず更新頑張ってください!楽しみにしてマス! (2018年8月25日 17時) (レス) id: d3e1d985bc (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃん(プロフ) - 葵さん» ご意見ありがとうございます!わたしもお気に入りの作品なんです(*∩ω∩*)!強めに言われるの好きな女性、実は多いんじゃないかなぁって思ってるので(勝手に)。書いてて楽しかったです!今後ともよろしくお願いします(^O^) (2018年8月23日 14時) (レス) id: 28a469272e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆちゃん | 作成日時:2018年7月8日 20時