幾時の針・消えない物語【 ３ 】

時・123 ページ25

◆ 太輔・side ◆

あれから １ヶ月…


お互いコロナ感染があったが、鬱の症状は一切出ず、今は平穏な日々。


今日も嬉しそうにお菓子を作っていた。同じ空間にいるっていいなと改めて実感中。



「太輔、おやつの時間だよ〜 」


「ん――――！！」



長い台本を置き、思いっきり背伸び！！


その様子をクスクス笑いながら見てるA。



「あ、旨い」


「そう？じゃあ、食レポ」



え〜…



「えっと、… 甘さ控えめの牛乳プリン？」


「えっとは要らないし、疑問形も変」



うっ…



厳しい…



「で？どこが美味しいのかな？」


「どこって… この滑らかな舌触りとスッとした甘さがいいかな？」



牛乳プリンは苦手だけど、牛乳臭くないところがいい。


初めて食べたパンケーキのようにスッキリした甘さが好き。



「ありがと」


「え… 」



…



「いっぱい作ったから、明日 持っててね」


「うん、ありがと」



そっか…


こういうことなんだ。


俺も成長しないとな…


…



…



…



「太輔… あの… 」


「どうした？」



帰ってくるなり、真剣 真顔？



「具合悪い？」


「具合は、悪くないんだけど… 」



うん？



「ワクチンのね… お知らせが来て… 」


「うん？それで？」



受ければいいんじゃない？


もう職場はないから 個人だし。俺たちは、事務所の指示に従いだけど。



「また コロナになったとか？」


「まさかな… なったばっかだし」



俺は、少しだけ症状は出たけど、Aは、無症状。



「そうじゃなくて… 」


「そうじゃなくて？何？？」



どうしたんだ？


めちゃくちゃ歯切れが悪い…



「その… 」


「うん？」



…



「用紙読んだのね… 」


「用紙？」



カサッ…



いつもの問診票？



「これが？」


「ここ… いつもは、気にしないんだけど… 」



指をさした場所…



「これが？」


「… その、… ないの… アレ… 」



ガタッ！！



「え？え？え？」


「今月… ないの… 」



ちょ…


… っと…



「え――――――！？」


「そんなに驚かないでよ！私のが動揺してるんだから！！」



いや、だって…



「コロナの時… ？」


「かな？」



嘘だろ…



「俺、ちゃんと避妊したけど？」


「お風呂違うじゃん… 」



あ…




そう言えばと…




思い出したイチャイチャ。




コロナ完治！と職場復帰でテンション高めでしたことを思い出した。

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