幾時の針・消えない物語

時・23 ページ23

あれから数日後、俺たちは、事務所に集められた。


実は、健永がコロナウィルスに感染したからだ(嗅覚・味覚障害の症状)



「全員 PCR検査 陰性」


「よかった… 」



良かったことは、良かった…


俺たちも検査対象となったが 幸い、健永以外コロナウィルスには感染してはいなかった。


濃厚接触者でもなかったが やはり弊害はある。



「再度、スケジュール調整を行うから連絡があるまで自宅待機」


「それから 藤ヶ谷」



え？



「はい」


「彼女のことだが… 実家に帰ってもらった方がいいかもしれない」



あ…



「このままだと彼女から感染するか、お前が感染させる可能性がある」


「はい、俺もそのことを考えてました… 名古屋の方があまり出てないので」



東京は 増加傾向にある…


名古屋も増えつつあるが、東京よりは 各段に少ない。



「緊急事態だ、よく考えろ」


「はい、了解しました」



実家か…



「帰すの？」


「玉… 」



俺を睨みムッとしてる…



「その方が感染リスクは少ない」


「Aちゃんの意見聞いてないじゃん」



…



「今日日、どこにいたって感染する時はする、千ちゃんだってなりたくてなったわけじゃない」


「わかってるよ！でも、Aを危険に晒したくないんだ！！」



俺が感染させるかもしれない！



「健康になったとはいえ、ちょっとしたことでも体調を崩しやすいんだ」


「感染させたら どうなるか！！」



未知のウィルス… ワクチンだって未だ出来てない。


気管支の弱い彼女… 嗅覚・味覚障害だけじゃすまないかもしれない…



「俺が守ってやらないと… 」


「その為には名古屋に帰した方がいいんだ！」



失いたくないんだ…




― 『 太輔ー(*^▽^*)♪ 』 ―




「ガヤ、Aちゃん 信じてないでしょう？」


「はぁ！？信じてるよ！信じてるに決まってるだろうが！」



誰よりも信じてる！！



「だったら Aちゃんと話しなよ」


「彼女の強さ わかるから」



強さ？



Aの？



「言っておくけど、ガヤは 守ってるんじゃない、守られてんだよ」



え…



「そんなこともわかってないくせに 旦那面すんな」


「あ〜、胸クソ悪ー！！俊君 帰ろ！」



…




バタン。




「玉の奴、良いこと言うじゃん」


「だな。ミツ、俺たちも帰ろうか、ニカも」




… パタン。




「守られてる… ？」




俺が？




Aに…




守られてるだって？

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