幾時の針・消えない物語

時・12 ページ12

◆ 太輔・side ◆

少しでも笑顔を見たくて 提案。


Aも楽しそうに準備していた。



「大丈夫〜？一人で立てられる〜？」


「大丈夫、任せろって」



ベランダにAを近づけるわけにはいかない。


誰が望遠で狙ってるか わからないから(用心深く)


以前 収録時に いいなぁ、と思っていたタープ。その小型をネットで見つけ即購入。


組み立てには苦労したが窓ぴったりサイズ。少し見えそうな所は観葉植物で隠した。



「うわぁ、白くて素敵！船の帆みたい！オシャレ！！」


「だろ？後はこのインド綿のラグを敷いて… チェアにテーブル… 出来た！」



オシャレに完成！！



「太輔、すごーい！」


「へへへ〜！」



解放した窓から爽やかな風。


一見すると ここが都会だとは思わないほどの空間だ。



「じゃあ、私も頑張っちゃおうかな？」


「え？何々？( *´艸｀)ﾜｸﾜｸ」



大きな木のまな板にどーんと乗ったピザとローストビーフ。


小脇には サラダも添えられていた。



「ミネストローネスープもあるよ」


「すげぇ、美味しそう」



全部手作りで超綺麗！さすがだ！！



「じゃあ、お家キャンプしよ！」


「うん！！」



俺は ワイン。


Aには、見た目そっくりのグレープジュース。



「「乾杯！！」」



カチンとカップを当て、お家キャンプがスタート。


大きな口でパクリ！！



「うま！柔らか！！」


「えへへっ(*´σｰ｀)ｴﾍﾍ」



マジで旨い！！


ヤバい、最高なんだけど！！



「ねー、写真撮っていい？」


「写真？珍しいな、お前が言うなんて」



普段、流出が怖いって 撮りたがらない。



「なんか自慢したくなった」


「誰に？」



わかるけど(-_-;)



「皆に！！」


「本当、お前 キスメン好きだな」



だろうと思った。



「じゃあ、リモートにすれば？」


「この前 新しい機材繋げたし、起きてたら出るんじゃないか？」



大画面で見やすいし。



「いいの！？私用に使って！？」


「いいよ、コミュニケーションの為に会社が支給したんだし」



ちゃんと考えてるよな、会社って。


まずは、グループラインで呼びかけ。すると真っ暗だった画面が付き始めた。



『珍し、ガヤさんから呼ばれるなんて』


「はよ、ニカ、起きてた？」



一番乗りは、ボサボサの髪で大あくびのニカ。




その後、次々に付き出す画面。あっという間に全員参加。




わいわい楽しいリモートキャンプスタートした。

時・13→←時・11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す