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元から持ち出すものが少なかった荷造りは、案の定すぐに終わった。
最後に残った写真をトランクに入れ、閉じる。






移動は急ぎのようで、このまま20時になったら姫宮家が出した車に乗るらしい。






20時……今日はライブだったし、坊っちゃまは帰ってこないだろう。
……最後に挨拶もできなかった。






帰ってくるといなくなっていた私に坊っちゃまは何と言うだろう。
寂しがってくれるかな。
…いや、清々したくらい言うかな。






(……よしっ!)






喝を入れるため、両頬をぺちんと叩く。
感傷的な気分になるのは辞めよう。
どんな事情があろうと、……従うと決めたのは自分なんだから。






ガラりとした自室を見渡す。
この部屋にも随分長い間お世話になった。






(……これで最後)






使い慣れたドアノブを握りしめ、扉を閉める。
きっと、この部屋を訪れることはもうない。






***






門の前に行くと、母や従兄弟など、北条の人間がもう集まっていた。






本当に、…大移動をするんだな。
もう理解したはずなのに、実際に目の当たりにすると何だか不思議な気分になる。






車に乗る順番があるらしく、親戚たちと談笑しながら待つ。
10分ほどだった頃、私が車に乗る番が近づいてきたらしく、母に呼ばれる。






後ろを振り返ると、見慣れた大きな門と御屋敷。
感傷的にならないと決めたばかりだけれど、やっぱり寂しくはなる。






いっぱい嫌なこともあったけれど、……やっぱり楽しかったな。





坊っちゃまと言い争いをした日々を思い出し、胸が痛む。






『……お世話になりました』






門に向かって一礼し、少しだけ見つめたあと、用意されていた車に乗り込んだ。






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作品ジャンル:恋愛
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ゆずは(プロフ) - ごんすけさん» えーーー!!そんなこと言ってくださるなんて…嬉しすぎます!ありがとうございます( ; ; )更新頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いします!!!! (2022年10月13日 23時) (レス) @page33 id: a915559bd8 (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 尊いです好きですありがとうございます……(早口)本っ当に最高です……毎度毎度 泣きそうなくらいの尊みで息の根が止まります…(愛)作者様も作品も大好きです…泣 (2022年10月13日 13時) (レス) @page33 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
ゆずは(プロフ) - ルナ(自称天才☆)さん» コメントありがとうございます!若干辛い展開かもしれないですが、最後はハッピーエンドなので楽しみにしておいて下さい〜!更新頑張ります! (2022年9月8日 13時) (レス) id: a915559bd8 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(自称天才☆)(プロフ) - 初コメ失礼します!この作品とても素敵だと思います。この後の展開が待ち遠しいです!ぜひ更新頑張ってください、待ってます! (2022年9月8日 0時) (レス) @page17 id: 2c52dd1a0d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちうさぎ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年11月18日 17時

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