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「遅いっ!…アレ、持ってきた?」
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約束の時間通り部屋に入った私に、お嬢さまはそう言った。
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『ちゃんと持ってきましたよ』
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ソワソワとした様子のお嬢さまに袋を見せるように持ちながら私は言う。
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嬉しそうな顔になった彼女を微笑み見つめながら、机の上まで移動し、袋を広げる。
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「いただきますっ!」
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いてもたってもいられないように座り、食べ始める姿はやっぱり可愛らしい。
私も横に座り、ポテトチップスに手を伸ばした。
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『美味しいですか?』
「うんっ!」
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初めて会った時にトゲトゲしてたのが嘘みたいな変わりようについ笑ってしまう。
…お嬢さまにはお菓子で餌付けするのが良いのか。
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ちょっとだけ下衆なことを考えてしまったのは自分の心の中に置いておこう。
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「そういや、…Aって朱桜さまのとこから来たんだっけ?」
『そうです』
「へ〜。朱桜家のご子息ってどんな人だったの?」
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思いついたように聞いてくるお嬢さまに、少しドキッとする。
突然坊っちゃまの話をされるなんて思ってなかった。
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お嬢さまは、あまり社交場にも出ていないと聞いている。
坊っちゃまともあまり話したことがないんだろう。
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……坊っちゃまがどんな人だった、か。
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『う〜ん………すぐ意地悪なこと言ってきたり、バカにしてきたり……』
「…なんか、思ってた感じと違う人なんだ」
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思い返してみると、喧嘩していることが多くてつい愚痴のような事が口からでてくる。
お嬢さまはそんな話を聞いて驚いているよう。
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『……でも、誰よりも優しい方だったと思います』
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口喧嘩が発展してお互いに悪口を言ってしまうこともあったけれど、坊っちゃまは私が本気で嫌がることだけはしたことがない。
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それどころか、使用人なのにこんな言い争いも許されていて、私を含めてみんなのことを大切にしてくれていた。
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…それから、時々こちらをみて、優しく笑うとこがーーー
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「……Aって朱桜さまのことが大好きなんだね」
『へ!?』
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私の顔をぼうっと見つめてお嬢さまはそんなことを言う。
そんなことを言われると思ってなくてつい素っ頓狂な声をあげてしまう。
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だけど…ここにはお嬢さましかいないし、認めてしまってもいいかもしれない。
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『そうですね…坊っちゃまのこと、大好きでした』
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ゆずは(プロフ) - ごんすけさん» えーーー!!そんなこと言ってくださるなんて…嬉しすぎます!ありがとうございます( ; ; )更新頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いします!!!! (2022年10月13日 23時) (レス) @page33 id: a915559bd8 (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 尊いです好きですありがとうございます……(早口)本っ当に最高です……毎度毎度 泣きそうなくらいの尊みで息の根が止まります…(愛)作者様も作品も大好きです…泣 (2022年10月13日 13時) (レス) @page33 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
ゆずは(プロフ) - ルナ(自称天才☆)さん» コメントありがとうございます!若干辛い展開かもしれないですが、最後はハッピーエンドなので楽しみにしておいて下さい〜!更新頑張ります! (2022年9月8日 13時) (レス) id: a915559bd8 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(自称天才☆)(プロフ) - 初コメ失礼します!この作品とても素敵だと思います。この後の展開が待ち遠しいです!ぜひ更新頑張ってください、待ってます! (2022年9月8日 0時) (レス) @page17 id: 2c52dd1a0d (このIDを非表示/違反報告)
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