分かれ道【ゼロ 一獲千金ゲーム】

分かれ道7つ目 ページ8

『(駄目だ…！落ち着け、私！


　大丈夫、考えろ、焦るな…！)』




恐怖と焦りで回らない頭に、自分で言い聞かせる。



そうだ、大丈夫、まだ時間はある。



一度ゆっくり深呼吸して、気持ちを落ち着かせる。




峰子さんが被す前に見せた、3回のサイコロ


出た目は全て1だった。




あれは…




「お前らも見ただろ？3回連続1が出るのを」



丁度考えていることを言われ、思わず声がする方を振り向く。


それはさっき峰子さんに文句を言っていた水色の変なシャツを着ているおじさんだった。



「要するに、あのサイコロは1しかでねぇ

　よく考えてみろ？説明の場面でそんな都合よく1が3回も 出るかよ？」



「…いや、6×6×6、216分の1でおきなくはないですけど」




男の人達が話し出しているのを私は耳をすませて静かに聞いた。




「つまりは…グラサイってことだ」




そう、それ



仕掛けをしたサイコロ、グラサイ。



1が出る細工をしてれば、あの結果に納得するし、次に出る目も多分1。



正直この説が一番濃い。




でも…もし偶然、本当に奇跡的に216分の1が出ていたら…



そう考えると素直に1には行けない。


　


「グラサイ？」

　

「…何の略だ？」



「ぐ…ぐ…グラグラするサイ」



『(…惜しい)』



「それ動物ですし」



「正しくは、重心の偏りで不安定になったサイコロが
　グラグラするからグラサイです」

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