参拾漆 ※ ページ41
ぼーっと座っていると、出汁の良い匂いがしてくる。眠気で朦朧としていた意識が少しずつ色彩を帯びていく。
あれ、俺…そう思ったのも束の間、目の前にお味噌汁、ご飯、だし巻き卵が並べられる。目の前のAに釣られるように手を合わせていただきますをした。
だんだんとはっきりしてきた意識がさっきまでのことを思い出させて、途端に気恥ずかしくなる。食べないの？と聞かれ、言われるがままにお味噌汁に手を伸ばした。
あったかくておいしい…野菜たっぷりのお味噌汁は、それだけでも充分に満足感がある。
ってそうじゃなくて。
「ごめん俺…
『分かってるよ、ありがとうね恵』
ありがとう？なんで俺は感謝されているんだろう。伏黒がAに疑問の眼差しを向けると、気遣ってくれたでしょ、恵も悠仁のことでいっぱいだったのにね、と言いはじめた。
少し違うけど全て違うとも言い切れない。お前までいなくなったらって考えると怖くなったんだ、と素直に伝える。
いなくなってからじゃ遅い。呪術師やってる以上、そういうこともありえるって頭の中では理解してる。だから一緒にいられるうちは、言いたいことはちゃんと言って、やりたいことも諦めないようにしたい。
『何かあったらいつでも言って。私にできることならなんでもするから』
「…じゃあここ」
ぽんぽん、と足の間に座るように促す。
『えーそれ意味ある…？しかもまだ食べ終わってないから無理だよ』
「ここで食べればいい」
半ば強制的に間に座らせ、腰に手を回す。ありえないくらいの積極性に自分でも驚く。でもなんでもするって言ったAが悪いよな、と伏黒は開き直った。
『食べにくいんだけど。てか恵もまだ食べ終わってないじゃん』
そう文句を垂れるAに、食べさせて、と頼む。もうそれ恵のお世話係じゃんと言いつつも、だし巻き卵を口に運んでくれる。
「…おいしい」
よかった〜と喜ぶA。
無事食べ終わった伏黒は、彼女の肩に顔をうずめた。
『恵ってばキャラ変でもしたの？』
テレビをつけてながら、そんなキャラじゃないじゃん、と言ってくる。
「なんでもするって言っただろ」
『言ったけどこれはちょっと違くない！？』
「違くない」
『てかそれ答えになってないから！』
こうしてると落ち着くんだよと言うと、仕方ないなあと手を重ねてくる。お前ほんとそーいうとこだぞ…
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いくら(プロフ) - さらさん» さら様、コメントありがとうございます！そう仰っていただけて嬉しいです…励みになります…！更新再開のために文章を書き直しているため、終わり次第つづきのお話アップしていきますね◎ (11月21日 10時) (
レス) id: 9fd3faeaa3 (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして！！このお話最高です！！今シーズン1から読ませて貰ってます！！恵くん、推しにはたまりません！！きゅんきゅんです！！続き楽しみにしてます！！更新頑張って下さいね！！ (11月21日 0時) (レス) id: f9b4a84be1 (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - ラブカですこんにちはさん» コメントありがとうございます。正解です◎お分かりいただけて嬉しいです…！ (2022年3月3日 3時) (レス) id: 71d8b0023a (このIDを非表示/違反報告)
ラブカですこんにちは - あの映画鑑賞の映画ってもしかしてLEONですか？ (2022年2月9日 14時) (レス) @page32 id: cc346bfde8 (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - 雫様、コメントありがとうございます！オチはまだ未定です！まだまだ続く予定なので、引き続きご覧頂けたら嬉しいです◎ (2021年4月9日 15時) (レス) id: 71d8b0023a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いくら | 作成日時：2021年3月22日 11時
