悪役令嬢に転生して新しい人生築く話。 (ページ6)

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前例がないなら作れば良いページ6

「お父様！！」

殿下は焦った様に国王様に詰め寄る。
しかし国王様は衛兵たちに殿下とサクラ嬢を確保するよう命令した。

「いやぁ！みんな騙されてるんです！
私じゃなくてAさんを捕まえるべきなんです！！」

サクラ嬢は喚き散らしていた。
そう言えばまだ私はサクラ嬢に謝っていなかった。

「サクラ嬢、私の言い方にも非はありましたわ。心より謝罪致します。」

これも半分計算なんだけど、私の言い方に問題があったのも嘘じゃないしね。
自分の非は認めるけど、元凶はあちら。
そこは譲らないわ。

「A様は正論しか仰ってないわ。」
「きちんと自分の非も認めて。」

「それに比べてサクラ嬢はまだ悪足掻きをするのか。」
「はしたないわ。」
「平民といえど最低限のマナーくらいは知っておるだろうに。」

これは良い流れだ。
サクラ嬢に対する罰も国外追放に留まっているし、これ以上は私も望まないから。

でも、国王は殿下のことどうお考えなのかしら？お世継ぎは？

「世継ぎのこと、皆案じておるだろうが問題は無い。儂に考えがあるのだ。

A嬢さえ良ければ儂の養子となり、国を背負ってはくれぬか。」

国王の言葉に皆唖然とするが、その瞳からは余念が感じられず真剣なのだとわかる。

すると、小太り気味の高位貴族であろう男がでてきた。

「しかし王よ、女が王になる前例が有りませぬ！民達からの反発や他国からの信頼問題にも関わってくるのですよ？！」

皆の考えることとこの男の言うことにそう違いはないだろう。Aも同じことを考えた。

しかし王も負けじと言った。

「前例がないなら作れば良い。
それに、A嬢なら成し遂げてくれる。我が愚息にはもったいないくらい出来た娘だ。皆も知っておるであろう。」

そう、Aは文武両道で気品もありながら自然や人を慈しむことも忘れない。
要するに完璧なのである。

その実力は隣国にまで轟いて居るのだ。

そうと言えど多くの貴族にとっては色々と複雑なようで二つ返事とはいかないようだった。