羅刹 ページ10
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「あ?要らない?…生意気な奴だな。
────閉じ込められてんだろ?この部屋に」
そう鬼は言う。少女は目を逸らして、一応頷く。時刻も夜中の為部屋は真っ暗。外も勿論真っ暗。しかし、雲に隠れていた月が出てきた。月明かりに照らされた少女の首元にある銀色の首輪が、キラッと光った。鬼はその首輪に一瞬、目を奪われる。
「何だその首輪、頑丈だなぁ。…俺が噛みちぎってやろうか?ああ、そしたらお前の血を飲んじまう」
それじゃダメだ、と鬼は言い少女の首輪にそっと触れようとした。しかし、手を伸ばしても部屋の中には入れないから触れる事は出来ない。
「似合わねぇよ、ソレ」
手を伸ばすだけ伸ばして、鬼は言い放った。似合う似合わないの話じゃない、少女はそう思いながら俯いていた。
「…」
「じゃあ…いつかお前の部屋の中に入れたら、俺が外してやるよ」
「…やめといた方が、いい」
「いーや俺はやる。此処に住んでる人間共を殺してお前の首輪を外してやる、今決めた」
少々引いた目で少女は鬼を見つめた。
「俺の名は
そう言って鬼…いや、羅刹は手を振りながら屋根から飛び降りた。その姿を後追いする様に少女は窓から顔を出し、地面の方を見下ろした。
「…首輪ちゃん、じゃ…ない」
「あぁ?じゃあなんて言うんだよ」
逆ギレする様に羅刹は声を荒らげた。静かにして欲しい。
「…薊美、…A」
頑張って、自分の名前を伝える。久しぶりに発した、自分の"名前"。
「ふーん、興味ねえわ」
「…」
そうバッサリ言われた瞬間、少女は真顔になった。
「…じゃあな、A」
羅刹はそう言って、森の中へと消えて行った。
「……」
変な鬼。少女は心の中でそう呟いたのだった。
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「はい、第一部終了〜!ハイハイ目を開けなさいよ。閉じたってもう無駄な事くらい、分かってるでしょ?」
「…」
あァ、また居やがる。隣で笑いながら俺に話しかける、あの女の声。
───────彼女と同じ声。
「…お前は何でまだ生きてんだよォ」
「失礼ね、私は元々存在していないのよ。生きるも死ぬも無いの。この世界が、私の居る場所なの」
この世界。周りも真っ暗で、何も見えないこんな世界がコイツの居場所なのか。
「…寂しい人生送ってんなァ」
「はい嫌い貴方やっぱり大っ嫌い」
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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 大ファンです!完結おめでとうございます!伏線回収も回想シーンも最高でした!自分はアザミちゃんが好きです。 (2021年10月3日 23時) (レス) @page48 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
ライアミ - めっちゃ泣けたヨ!布団がめちゃくちゃ濡れてんだけど……………ヤバいネ。感動をありがとアル!泣くことや笑うことはストレス発散になるからネ!終わりヨ! (2021年3月28日 1時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。光華さん、いつも自分の作品にコメントしてくださって、本当にありがとうございます!鬼滅作品を思う存分書いた後、すぐに銀魂復帰しますので、約束です! (2021年1月25日 0時) (レス) id: 611a77bbbd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 完結おめでとうございます!次も鬼滅ですか!銀魂も鬼滅も好きなので!! 銀魂作品更新応援してます!何時までも待ってますんで、虚無感ゆっくり消化してください (2021年1月24日 18時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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