小刀 ページ46
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俺は呆然としていた。目を見開いて目の前の光景を唖然としながら目撃していた。少女が目の前で鬼に喰われたから?俺が少女を、救う事が出来なかったから?いや、違う。俺も最初はそう思ったさ。
でも少女は、俺の予想を遥かに超えるくらいに
_____強かった。
「……」
少女は両手を広げて大きく手を叩いた。そう、ただ手を叩いただけだ。だけどそれが驚くんだ、目の前で急にやられると。十二、三歳の年齢の少女なら、普通鬼に喰われかけられると恐怖で身体なんて動けやしない。だから鬼も油断していた。少女のが一枚
人質という最も過酷で危険な役目をしているからこそ、冷静に対処出来た。手を叩いて、鬼は動揺し一瞬の"隙"が出来た。少女はその瞬間を見逃さなかった。
脚を掴んでいた手が弱くなり、すかさず脚を引き抜く。両手を地面に付いて体重を乗せ、そのまま宙に浮いた両脚で鬼を蹴り飛ばした。しかも、鬼の眼を狙って。
「グァッ!」
狙い所が上手く、両眼を蹴られた鬼はダメージを食らう。けれどそれじゃダメだ。鬼は日輪刀で頸を斬らなきゃ死なねェ。それか日光を浴びさねェとダメなんだ。
しかし夜明けはまだ。確実に日光で殺す方法は無理だ。でも日輪刀を持ってない少女が鬼の頸を斬る事など到底不可能。そもそもこんな少女が鬼の頸を刎ねる事自体が不可能だ。どうする、俺は助ける事が出来ない。黙って俺は見つめていた。どうしようもないくらいこの時間が嫌だった。
「ってぇな!!このクソ餓鬼!今すぐ喰ってやる!!」
両眼を蹴られて眼を開ける事が出来ない鬼。何処だ、臭いで分かるんだぞ、と言いながら辺りを手探りで触っていた。少女は無言で鬼を見つめ、鬼の方へ近付いて行った。
馬鹿!やめろ!と思い俺は咄嗟に少女の手を掴もうとする。が、それは叶わない。スルリと透けて触ること等出来なかった。近付きながら少女は懐から"あるモノ"を取り出した。それは。
「…小刀?」
小さな小さな小刀だった。護身用にしては小さ過ぎる。使い道が分からないくらい小さな小刀は、少女の腕を引き裂くには十分な物だった。
「____ッ!!」
俺は、"このやり方"…いや、"この
少女はザシュッと自身の腕を引き裂き、溢れんばかりの血を出した。それも、真顔で。やめろ。やめろ、やめろやめろやめろ。
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ほわ - はじめまして!読むの楽しいです!!もしかしてDECO*27さんの依存香炉の歌詞引用されてますか!?!? (2021年3月12日 10時) (レス) id: 67e3028028 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 芋けんぴさん» コメントありがとうございます。不死川さんのキャラ、書きやすそうで意外と書きにくい、掴みどころや考えてることが分からないような、、、そんな事をいつも考えながら書いてます笑作品を褒めて頂き嬉しい限りです!これからもこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。確かに…共通点多いですよね、、、その姿にいつの間にか惚れてしまったのかもしれません…!もうすぐ続編へと移行しますので次の作品もよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 初コメント失礼します。私も鬼滅だと不死川さん推しです。不死川さんのキャラを殺さず、丁寧に物語を紡いでいるところにとても惹かれました!今から続きを読ませていただきます!! (2021年1月18日 1時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はわわわ 感激です! 鬼滅だったら不死川さんなのわかります!護る為に大切な人を突き放すところとか何か共通点があって土方さんと似てないけど似てるんですよね。(結局垢名前垢と同じ) 作品更新応援してます! (2021年1月17日 17時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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