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一体 ページ24

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「…俺は、死ぬのが怖いと思った事は一度も無ェ。これは…本当だ。醜い鬼共は俺が殲滅(せんめつ)する。そういつも思いながら俺は生きている。それは多分これからも…鬼が絶滅するまで、そう思い続ける
その為の犠牲に俺がもしなれと言われたならば…俺はそれを受け入れる。だから死ぬのは怖くねェ。けど…」

 ───────けど。

「自分の大切な物を失う方のが…よっぽど怖ェ」


 彼女は長い髪の中から俺を見ていた。今までに見た事がないくらいの真剣な眼差しだった。彼女はコクリと頷いて真っ直ぐ前を向いていた。俺は彼女の横顔を見つめながら、俯いた。

「…私は、"賞賛"を求めて"後悔"を得た」

 彼女が、ポツリポツリと話し始めた。多分、こんなに喋るのは最初で最後な気がした。


「欲しかったものは"期待"。そして返ってきたものは…"裏切り"。……実弥、貴方を否定したい訳じゃない。鬼の存在は…昔から知っていた。多くの人を喰らい、強くなる事を目的として行動する。…そんなの許される筈がない。…でも、」
「…」

 彼女の眼は大きく揺らいだ。俺は彼女から目が離せなくなっていた。

「…でも、人間に手を離され、人間に裏切られ、人間に首輪をつけられ、人間の為に人質になった私は。


──────……一体何なんだろう」

 薊色の悲しい瞳は必死に訴えていた。
 一体、何なんだろう。本当に、一体何なんだろう。


「…すまねェ、答えが…見つからない」

 やっとの思いで声を出した答えがコレだった。我ながら情けない。情けないの一言だ。

「…」

 彼女は悲しそうにフッと笑い、そして俺の方に体重を掛けて倒れた。俺は彼女を両手で受け止め、空を見上げる。あァ、なんでこんな日に限って月が綺麗なんだよ。やめてくれ、そんな綺麗な()で俺を見ないでくれ。

「一人は、…寂しいから」

 そう小さな声で呟いて彼女は俺の両腕の中で眠りに落ちた。



「──────…一人は寂しい、よなァ」


 彼女が今、何を思い何を感じながら息をしているのか。こんな未熟な俺には到底理解するには難しいだろう。こんな未熟な俺が…彼女を助けるなんて。

「…おこがましいだろ」

 そう言いながら彼女を抱きしめるように俺も眠りについたのだった。


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ほわ - はじめまして!読むの楽しいです!!もしかしてDECO*27さんの依存香炉の歌詞引用されてますか!?!? (2021年3月12日 10時) (レス) id: 67e3028028 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 芋けんぴさん» コメントありがとうございます。不死川さんのキャラ、書きやすそうで意外と書きにくい、掴みどころや考えてることが分からないような、、、そんな事をいつも考えながら書いてます笑作品を褒めて頂き嬉しい限りです!これからもこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。確かに…共通点多いですよね、、、その姿にいつの間にか惚れてしまったのかもしれません…!もうすぐ続編へと移行しますので次の作品もよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 初コメント失礼します。私も鬼滅だと不死川さん推しです。不死川さんのキャラを殺さず、丁寧に物語を紡いでいるところにとても惹かれました!今から続きを読ませていただきます!! (2021年1月18日 1時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はわわわ 感激です! 鬼滅だったら不死川さんなのわかります!護る為に大切な人を突き放すところとか何か共通点があって土方さんと似てないけど似てるんですよね。(結局垢名前垢と同じ) 作品更新応援してます!  (2021年1月17日 17時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年1月15日 15時

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