会話 ページ12
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「ありました、Aさんの瞳の色とは異なるのですが、青色の薊の花の簪ですよ」
そう言って彼女の髪に簪をつけた。胡蝶は簪姿の彼女に満足しながら
「青い薊の花言葉は、"安心"と"満足"なんですよ。私も今満足しています。それに、Aさんといると何だか凄く安心するんです。不思議ですね」
フフと笑いながら胡蝶は彼女の手を握った。彼女は黙って胡蝶の手を見つめていた。
「では、そろそろ行きましょうか」
彼女の手を引っ張って、ベッドから彼女は立ち上がった。彼女が立ち上がると、百五十一しかない胡蝶の身長を悠々に上回る身長である事に、胡蝶は今更ながら気付いた。身長からして甘露寺蜜璃と同じくらいだろうか。そう考えている胡蝶に対して彼女はただ黙り込んだまま胡蝶の手をずっと握り、そして歩き出したのだった。不覚にも"可愛い"と思ってしまった胡蝶しのぶであった。
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彼女は大きな屋敷の門を見上げていた。胡蝶に手を引かれながら辿り着いたお館様のいる産屋敷家。「行きますよ」と胡蝶に手を引かれ彼女は黙って歩いていた。彼女より小さな手。しかしその手には彼女よりも大きな重みがあるように感じられた。
「やあ、来てくれたんだね。わざわざありがとう、しのぶ」
「いえ、お館様のご意向とならば」
胡蝶は片膝をついた。隣にいる彼女は立ったまま静かにお館様を見つめていた。「Aさん」と胡蝶は彼女を呼んだが彼女の眼はお館様にしか向いておらず胡蝶の声は聞こえていなかった。
「良いんだ。Aと言ったね、私は君と話がしたいんだ」
彼女はお館様、
「話をしてくれるかな?」
静かな、丁寧な口調でお館様は彼女に問う。彼女は彼の眼を見て、ゆっくりと頷いた。胡蝶はその姿に驚いていたが「二人になりたいから、しのぶは下がってくれるかい?」と言うお館様の命令によりその場を後にした。
─────彼女は喋らない。
その事をお館様に伝えるタイミングがなかった。胡蝶はそれを気がかりに彼女の帰りを門の前で待つ事にした。
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「中に入っておいで」
お館様がそう言うと彼女は黙って彼が座っている前に腰を下ろした。
「はじめまして、私は産屋敷耀哉だ」
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ほわ - はじめまして!読むの楽しいです!!もしかしてDECO*27さんの依存香炉の歌詞引用されてますか!?!? (2021年3月12日 10時) (レス) id: 67e3028028 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 芋けんぴさん» コメントありがとうございます。不死川さんのキャラ、書きやすそうで意外と書きにくい、掴みどころや考えてることが分からないような、、、そんな事をいつも考えながら書いてます笑作品を褒めて頂き嬉しい限りです!これからもこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。確かに…共通点多いですよね、、、その姿にいつの間にか惚れてしまったのかもしれません…!もうすぐ続編へと移行しますので次の作品もよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 初コメント失礼します。私も鬼滅だと不死川さん推しです。不死川さんのキャラを殺さず、丁寧に物語を紡いでいるところにとても惹かれました!今から続きを読ませていただきます!! (2021年1月18日 1時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はわわわ 感激です! 鬼滅だったら不死川さんなのわかります!護る為に大切な人を突き放すところとか何か共通点があって土方さんと似てないけど似てるんですよね。(結局垢名前垢と同じ) 作品更新応援してます! (2021年1月17日 17時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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