虐待 ページ43
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「じゃあ、今からコレをつけなさい」
主人が持っていたのはある金属製のモノ。それは、俺のよく知っている”モノ”だった。
「…何、それ」
「これは今から君が此処にいなくてはならない"証"だよ。首を出しなさい」
「え…嫌だ、」
「出せ」
「…や、だ」
「…出せッ!出せって言ってんだろこのクソ餓鬼!!何の為にテメェの両親と交渉したと思ってんだ!お前が高く売れるっつーからこちとらクソ餓鬼を人質交換したって言うんだぞ!分かってんのか!!」
主人は少女の首を両手で締め付け叫んでいた。訳がわからない表情の少女はただひたすらもがき苦しんでいた。俺は、ただその光景を見ている事しか出来なかった。
主人は少女を取り押さえ、手に持っている銀色の鉄製首輪を彼女の首にガシャンとつけた。主人はニタニタ笑って少女をベッドに投げ捨てた。
「いいか、片時もその首輪を外すな。お前の価値は所詮人質なんだ。人質だからお前は生かされていると思え。その首輪が外れた時、お前の存在価値は無となる。無価値となる。今日からお前は"人質"なんだ。人質は喋るな喚くな騒ぐな。いいな、分かったか。お前は、いつでも殺れるんだよ。だから…覚悟しとけよ」
そう捨て台詞を吐いた主人は部屋の扉を閉めた。
「…」
少女は無理やりつけられた首輪をそっと触り、天井を見つめていた。その瞳に、色はなかった。
なんだよ、これ。なんで俺は何にも出来ないんだよ悪夢だ、こんなものを見せられて。その上、手出しも出来ねェなんて。少女の名前、さっき両親が言ってたじゃないかなんだっけ、思い出せ。俺はこの少女をよく知っている、頼む思い出してくれそれが精一杯の償いだから。
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気がつくと俺はまた別の場所にいた。何処だ、此処は。今度は周りが真っ暗だ、何も見えやしない。そう思っていると、いきなり目の前に白いスクリーンが映った。
「…さっきの、」
スクリーンに映るのは、首輪をつけられた少女。そして、あの屋敷の主人。
俺の目に映るのは、毎晩夜になると彼女の部屋に入り暴力を続ける主人と、必死に抵抗する少女。頬を殴られ腹を蹴られ、首輪を掴まれる少女。
「もう…やめてくれ」
俺の前にソレを映し出さないでくれ、頼むから。頼むから、やめてくれ。
それからずっと、俺は虐待される少女の姿を見せられた。この日は刃物、この日は鈍器、この日は素手。日に日に少女の眼は死んでいった。日に日に、少女の感情は死んでいった。
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ほわ - はじめまして!読むの楽しいです!!もしかしてDECO*27さんの依存香炉の歌詞引用されてますか!?!? (2021年3月12日 10時) (レス) id: 67e3028028 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 芋けんぴさん» コメントありがとうございます。不死川さんのキャラ、書きやすそうで意外と書きにくい、掴みどころや考えてることが分からないような、、、そんな事をいつも考えながら書いてます笑作品を褒めて頂き嬉しい限りです!これからもこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。確かに…共通点多いですよね、、、その姿にいつの間にか惚れてしまったのかもしれません…!もうすぐ続編へと移行しますので次の作品もよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 初コメント失礼します。私も鬼滅だと不死川さん推しです。不死川さんのキャラを殺さず、丁寧に物語を紡いでいるところにとても惹かれました!今から続きを読ませていただきます!! (2021年1月18日 1時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はわわわ 感激です! 鬼滅だったら不死川さんなのわかります!護る為に大切な人を突き放すところとか何か共通点があって土方さんと似てないけど似てるんですよね。(結局垢名前垢と同じ) 作品更新応援してます! (2021年1月17日 17時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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