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世界 ページ42

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 あれ、此処、何処だ。あれ、俺、今まで何してたっけ。
 右も左も真っ白な世界で俺は立っていた。なんでこんな何も無い所にいるんだ、まさか俺、知らねェうちに死んだのか?いや、そんな筈がない。任務も普通にこなしたし、それに昨日は久しぶりの非番だった。
 普通に朝起きて普通に飯食って普通に甘味屋でおはぎ食って普通に稽古して普通に寝た。…誰と?一人で、か?

「…誰とだっけ、」

 いや、一人か。柱全員の顔を思い浮かべるけど誰一人として昨日一緒に行動はしていない。

「…あれ、何だ、あそこ」

 一面真っ白な世界だったのに、ある一点だけ光っていた。あそこに行けば此処から出られるのか。ならば、行くしかない。俺はあの光る場所まで走った。

「眩し…」

 その光が猛烈に輝き出し、俺は思わず目を瞑った。




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「ごめんね、A。必ず迎えに行くからね」
「大丈夫だよ、私、元気」
「そうね、Aは強い子だもんね、そうよね、そうよね」

 何だ、此処。十歳くらいの小さな少女が、涙ぐんでいる男女に手をブンブンと握られていた。大方、大人の方は両親だろうか。A?聞いた事ある名前だ。この少女の名前だろうか。

「あそこのお屋敷にお世話になるのよ、絶対に良い子にしなきゃダメよ、分かった?」
「大丈夫だよ。私、お姉ちゃんだから」
「良い子だな、Aは。相手の家族も安心出来るだろう」

 お姉ちゃん?長女なのか?両親と彼女の他に子供なんて見てないが、どういう事だ?


「じゃあね、A」
「…うん。お母さん、手、握って」
「え?手?はいはい、これでいい?」

 何だ、何なんだこの妙な違和感。母親は本当に悲しんでいるのか?あの張り付いた悲しそうな顔が気持ち悪い。

「じゃあね、A」

 握られた手は一瞬にして離される。そんな早く手放すか?それが親が子に対してする事なのか?少女は離れて行く両親を追いかける様に手を伸ばした。
 しかし両親は少女の方へ顔も向けず少女もまた、この屋敷の主人に手を掴まれていた。

「こっちへ行こうか」

 不気味なくらい汚い笑顔で主人は少女に話しかけていた。俺はただ、そこにいるだけ。見てるだけ。








「此処が君の部屋だよ」

 主人はとある隅の狭い部屋に少女を招いた。古びた机、大きな本棚、沢山の書物、ベッド。必要最低限の物しか置かれていない部屋。あれ、俺…この部屋知ってる。なんでだっけ。


 俺はいつの間にか少女の部屋の中に居た。


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ほわ - はじめまして!読むの楽しいです!!もしかしてDECO*27さんの依存香炉の歌詞引用されてますか!?!? (2021年3月12日 10時) (レス) id: 67e3028028 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 芋けんぴさん» コメントありがとうございます。不死川さんのキャラ、書きやすそうで意外と書きにくい、掴みどころや考えてることが分からないような、、、そんな事をいつも考えながら書いてます笑作品を褒めて頂き嬉しい限りです!これからもこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。確かに…共通点多いですよね、、、その姿にいつの間にか惚れてしまったのかもしれません…!もうすぐ続編へと移行しますので次の作品もよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 初コメント失礼します。私も鬼滅だと不死川さん推しです。不死川さんのキャラを殺さず、丁寧に物語を紡いでいるところにとても惹かれました!今から続きを読ませていただきます!! (2021年1月18日 1時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はわわわ 感激です! 鬼滅だったら不死川さんなのわかります!護る為に大切な人を突き放すところとか何か共通点があって土方さんと似てないけど似てるんですよね。(結局垢名前垢と同じ) 作品更新応援してます!  (2021年1月17日 17時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年1月15日 15時

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