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その後は散々だった。首が締まっていながらも構わず進み続けた私は、このままでは窒息死するのではないかと疑われるくらいまで爆豪にマフラーの端を掴まれていた。しかし遂にヤバいと感じた彼は思い切り手を離した。私も呼吸を整え直す。やはり彼は口先だけで本物の殺意は持ち合わせていない。そりゃそうだ。だって私と彼は話した事もないただのクラスメイトなのだから。人間そう簡単に殺意なんてモノは出ない。それを私は知っていた。
爆豪の友達二人の手によって爆豪は強制退場させられていた。最後まで私を睨み、怒り狂っていた爆豪だったが私は彼の目も見ずに三人が消え去るのを教室で待機していた。今無闇矢鱈に動けば今度こそ爆豪に爆破されそうだったからだ。ほとぼりが冷めるまで教室で時間を潰そうと腕時計を見ながらそう悟った。
すると緑谷が控えめに「あの…」と話しかけてきた。私は顔を上げて一応返事をした。緑谷は眉を下げながらお礼を言った。だから私は首を横に振って否定した。別に君を助けた訳では無い、と。
「それでも、言い返してくれて嬉しかった。その…ありがとう」
はにかみながら笑うその姿を見て心の奥が暖かくなった。どんな形にせよお礼を言われるのは悪くない。お礼を言われて多少なりとも機嫌が良くなった私は自身の手を窓の外から出した。そして、念じる。
すると池に浮いていたノートが浮かび上がった。空中をゆらゆらと揺れながらノートをパタパタと回転させ、冬の冷たい風でびちゃびちゃに濡れたノートを乾かす。限度があるが何とか冷たく乾いたノートを手に取り、私は緑谷にソレを渡した。緑谷は大きな目をこれでもかというほど見開いて私とノートを交互に見つめた。
「す、すごい！志村さんの個性って何なの！？」
キラキラと輝くその瞳は小さな子供同然だった。その期待の眼差しの様な視線に耐えきれなくなった私は静かに目を逸らして「……念力」とだけ答える。私の個性は「念力」だった。モノやヒトを触ること無く動かせる事が出来るのだ。強く念じれば念じるほど、そのチカラは強くなる。力を入れれば入れるほど、大きなモノでも容易く動かす事が可能だった。動かす、なんて可愛く表現してはいるが実際はそんなモンじゃない。ビルだって崩壊出来るし、ヒトを高速で潰す事だって出来る。言わば敵向きの個性だった。
ノートを受け取った緑谷に「じゃあ、また明日」とだけ挨拶をして私は教室を出た。流石の爆豪達ももう居ないだろう。
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麗葉 - とても面白かったです！空白があると読みやすいかなと思います！ (6月19日 14時) (
レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - レオさん» コメントありがとうございます。夢主の過去は後に出てきますので暫くお待ち頂けると幸いです。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - eggちゃんさん» コメントありがとうございます。更新頻度をあげられるよう全力を尽くしますのでこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - のむさん» コメントありがとうございます。ファンになって頂けるなんて光栄です。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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