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一人で街を歩いていた。寒がりな私はマフラーに顔を埋めて、そろそろカイロを持ち込もうかなんて呑気に考えていたのだ。しかしとある違和感に気付くのに時間は要らなかった。街が何だか騒がしい。私の歩く先に人集りが出来ていたのを発見して、思わず歩いていた足を止めた。目は良い方だ。よく凝らして見つめ続けたらあの人集りが何なのかくらい把握出来た。
─────なんと
私はその姿を黙って傍観した。周りのヒーロー達も自分の個性と相性が合わないのか、他のヒーロー達と擦り付け合いをしていた。そして一般市民はそんな事も全く考えず、ただ見ていた。私と同じくただ見ていた。写真を撮る者や心配の声だけを発する者。各自言いたい放題の中、爆豪は必死に抵抗していたのだ。
私はヒーローじゃない。ただの中学三年生の女子生徒だ。個性こそ強いが爆豪みたいに見せびらかす事だってしないし自慢する事もしない。大人びていると言ったら聞こえが良いかもしれないが実際はただの臆病者だ。
それでも、私にだって意志というものが存在している。
普段は物事に対して意見や意志など全く示さない私だが、「あるもの」に対してだけは憎悪するくらい忌まわしく感じていた。そう、それが────「敵」だ。
私は敵がとても嫌いだった。それはもう、「殺意」が沸くくらい、憎く、腹立たしく、とてつもない醜い感情が渦巻くほど。
爆豪を助けたいなんて感情は一切ない。ましてやヒーローを気取って周りからの名声を貰いたい訳でもない。ただ、そう、ただひとつ。敵を殺したい、その一心だった。
そんな時、私の真横からとある人物が風のように通り過ぎた。
「…緑谷？」
緑谷出久だった。緑谷は焦った様に、自分でも何が何だか分からなさそうに、そんな顔で飛び出して行った。何度も言おう。彼は「無個性」だ。そんな彼が、誰よりも早く飛び出した。飛び出して助けに行った。爆豪勝己という人物を救い出すために。彼の頼りない背中がそう語った。
だから、彼は「ヒーロー」を目指したんだ。
心の中でそんな言葉が響いた。納得した。誰が発したかは分からないが私はソイツの意見に激しく肯定の意を示したのだ。
敵は憎い。大嫌い。それはもう殺したいくらい。だから私は人混みの中に足を踏み入れた。静かに、一歩ずつ、一歩ずつ。そして右手を上げた。敵に対して激しい憎悪を狩らせて強く強く念じた。
「ああ、嫌いだ」
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麗葉 - とても面白かったです！空白があると読みやすいかなと思います！ (6月19日 14時) (
レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - レオさん» コメントありがとうございます。夢主の過去は後に出てきますので暫くお待ち頂けると幸いです。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - eggちゃんさん» コメントありがとうございます。更新頻度をあげられるよう全力を尽くしますのでこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - のむさん» コメントありがとうございます。ファンになって頂けるなんて光栄です。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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