約束 ページ34
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「え、…」
思考が停止する。小さな箱から顔を出したのは指輪だった。高校生らしからぬ銀色に輝く指輪。
「さね、みん。さっき…後輩に呼び出されてたじゃん」
「あァ?ンなもん勿論断ったに決まってんだろォ」
「…告白、だったんだ」
「言わせんなァ」
"勿論断ったに決まってんだろォ"なんて、安心する言葉を彼は私に伝えてくれる。想いが溢れ出てもう誰にも止められない。
「さねみん…いや、…不死川、実弥くん」
「…はい」
私はフワッと笑って、左手の薬指を彼に見せた。
「貴方の隣で、一生笑わせて下さい」
そう言うと彼は箱から指輪を取り出し、私の左手の薬指にはめた。キラキラと輝く
「大学生になったら、同じ家に一緒に住むぞ」
「……え?」
「Aのご両親には了承を得た」
「……ん?」
彼が一体何を言っているのか理解が追いつかず、ただただ脳内に?マークが連なる。ん?一緒に住む?了承?得た?ん?
「家から××大学似通うのは難しいだろォ」
「うん、確かに」
「お前一人暮らしなんが絶対出来ねェだろォ」
「うん、確かに」
「だから俺がお前のご両親に挨拶して頼み込んできた。2人共了承してくれたわァ」
「ん"ーーー?いつ?」
「A達が寿司食ってる時」
「ん"ーーー?いつの間に?」
段々と理解していき、私は混乱していた頭を少し休ませる。
「…たくしーどころの話じゃないよね?もはや私専用リムジン」
「彼氏をリムジン扱いすんじゃねェ」
「てへ」
コツンと頭を軽く叩かれ私はへへと笑った。嬉しい、素直にとても嬉しい。彼の言葉も、指輪も、同居の話も。全部全部彼が私の為を想ってしてくれた事だと考えると頬が緩んでしまう。
「さねみ」
「あァ?」
「さねみーん」
「何だよ変な奴、そろそろ教室出るぞォ」
「はーい」
手を繋いで、私達は3年2組の教室を出る。早桜が窓の外から舞い散る中、私達は長い廊下を歩く。タクシーではなく、自らの足で。
「へいさねみん、ずっと私のお世話してくれるかい?」
手をギュッと掴み、彼にそう聞いてみた。彼は私の顔をチラッと見て微笑みながら口を開く。
「一生世話してやらァ」
今日一番の笑顔を、貴方に向けたのだった。
「約束だね、さねみん」
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ポンコツ(プロフ) - すっごいドンピシャに好きな作品でした!! (2022年11月8日 18時) (レス) @page45 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
澪奈(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!!次回作も楽しみにしています! (2021年3月9日 21時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - さねみんなら、一生お世話されたい!!楽しい作品だったぜィ(^^) (2021年3月9日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 完結おめでとう!!とにかく可愛らしくて勝手に2人の保護者面して見守っておりました…。ゆっくりと2人のペースで進んでる姿が本当に見えてきてこの先も笑い合っていくんだなって思うと本当に素敵な2人!最高なお話をありがとう!次回作もゆっくり頑張ってね!!! (2021年3月9日 20時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - もしゃこうさん» コメントありがとうございます!この作品を最後まで読んでくださり本当に嬉しいです、、!次回作も見てくださるんですか!?ええ嬉しい涙ありがとうございました、! (2021年3月9日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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