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一生 ページ33

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「教室、戻ってもいいかァ」
「教室?2組の?」
「おう」

 そう言われて私達は教室に戻ろうとしたが、お母さんに「あ、ちょっと待って2人共あそこで写真撮って〜」と言われて"キメツ学園卒業証書授与式"と書かれた看板の前にさねみんと2人で立った。
 お母さんとお父さんがスマホやカメラを持って写真を撮り、笑顔で「OK!」と言って私達は顔をお互い見合わせて笑った。


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「誰も居ないね」
「もう皆外に行っちまってるからなァ」

  2組の教室に戻るとそこはもうもぬけの殻で、窓の外からは皆が写真を撮ったり騒いだりとガヤガヤした声が聞こえていた。

「もう卒業かー、寂しいね」
「まァな」

 黒板アートを見つめながら私は彼に話しかけた。彼は私の目を合わせずそう答える。様子が何か、変というか、ぎこちない。


「さねみん?」

 私は教壇に立ち、彼は目の前の生徒用の席に座った。まるで私が教師で彼が生徒の立ち位置。普通は逆なのに。

「A、大事な話があるんだァ」
「…大事な話?」

 私がそう問いかけると、彼は頷き私を手招きした。私は彼の元へ駆け寄って「何?」と聞いた。彼は優しく笑いかけて私の頬を片手で触る。くすぐったくなり私は思わず目を瞑った。すると口に暖かい感触が残る。キスだった。優しく溶けそうなキスを彼は落とした。

「もう、学校なのに」
「誰も居ねェからいいだろ」

 私はむうと頬を膨らませ目線を逸らした。恥ずかしさがやはり残る。彼はそんな私の姿を見て笑い、「A、A」と何度も私の名前を呼んだ。

「さっきからどしたの」

 私がそう言うと、さねみんはへらっと笑うだけだった。何がそんなに楽しいのか私には分からない。彼は私の名を呼ぶ事にもう満足したのかポケットからあるモノを取り出し、私の方へそれを見せた。

「…さねみん?」

 その小さな箱が、私の前に差し出される。何だろう、これは。




「──────神崎、Aさん」




 改まった呼び方で、さねみん…いや、不死川実弥は私の前に立ち、そう言った。


「…、はい」


 その姿に圧倒され私もちゃんと返事をする。小さな箱が私の前でパカッと音を立てて開かれた。



「俺と…ずっと一緒にいて欲しい。高校卒業して、大学生になって、それから大人になって行く。周りの環境も変わるし、沢山の人にも出会う。そんな中でも…俺はAと一緒に居たい」
「…さね、」


「神崎Aさん。一生俺の隣で笑ってくれェ」


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ポンコツ(プロフ) - すっごいドンピシャに好きな作品でした!! (2022年11月8日 18時) (レス) @page45 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
澪奈(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!!次回作も楽しみにしています! (2021年3月9日 21時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - さねみんなら、一生お世話されたい!!楽しい作品だったぜィ(^^) (2021年3月9日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 完結おめでとう!!とにかく可愛らしくて勝手に2人の保護者面して見守っておりました…。ゆっくりと2人のペースで進んでる姿が本当に見えてきてこの先も笑い合っていくんだなって思うと本当に素敵な2人!最高なお話をありがとう!次回作もゆっくり頑張ってね!!! (2021年3月9日 20時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - もしゃこうさん» コメントありがとうございます!この作品を最後まで読んでくださり本当に嬉しいです、、!次回作も見てくださるんですか!?ええ嬉しい涙ありがとうございました、! (2021年3月9日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年2月27日 0時

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