呼出 ページ32
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「3年2組の皆さん、卒業おめでとう。君達の担任になれて…私はとても幸せだった。喋ろうもするも…涙が止まらず上手く話す事が出来ない」
そんな言葉から始まった悲鳴嶼先生のお話は生徒皆の心に響き、段々と女子生徒の鼻をすする音が聞こえ始める。
「また、いつでも遊びにおいで。先生達は待ってます」
数珠を持った悲鳴嶼先生は、最後にその言葉を言って笑った。いつも優しい先生だけど、その笑顔は今まで以上に優しさに溢れた笑顔だった。
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「写真撮ろ〜!」
「同窓会とかやろうねー」
「先生一緒に写真撮りましょ!」
そんな言葉が飛び交う中、私は校庭に足を運びキメツ学園卒業証書授与式と書かれた看板を見つめていた。
「卒業、かあ」
中学生の頃は何とも思わなかったが、今となっては高校3年間があっという間に感じられた。多分その理由は、彼が隣に居てくれたから。
「宇髄先輩!ブレザーのボタンください!」
「宇髄君写真撮ろう!」
「宇髄くーん!」
そんな女子の声援が耳に入り、私はその声の元へ振り返った。そこには沢山の女子生徒に囲まれた宇髄天元の姿を発見。1人1人の女子に笑顔で対応していて凄いなと思った。でもボタンは断っていた。そういう所もしっかりしている、流石だなあ。
「A〜」
「あ、お母さんとお父さん」
名前を呼ばれて目線を移すとスーツ姿のお父さんとお母さんが居た。2人とも笑顔で"卒業おめでとう"と言ってくれて私は"ありがとう"と答えた。
「Aが入場してるとこスマホでビデオ撮ったわ〜」
「お母さん殆ど寝てたでしょ」
「お父さんがスマホでビデオ撮ってたわ〜」
のほほんとした感じでお母さんがそう言うとお父さんが素早くツッコミを入れていた。やっぱり仲良し。
「不死川君は一緒じゃないの?」
「なんか後輩の女の子に呼び出されてた」
「あらま」
お母さんに"取られちゃうわよA"なんて言われる始末。確かに後輩の女の子に呼び出されるなんて告白される事は流石の私も分かりきっているが、何故だろう。彼を信頼してるからか、安心していた。
「さねみんなら大丈夫だよ」
「そうなの?」
「うん、ちゃんと私の隣に来てくれるから」
フッと笑って、私はお母さん達にそう言ったのだった。
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「此処に居た」
「あ、さねみん」
さねみんが卒業証書を片手に外にやって来た。お母さんにあんな事を言っておきながら先程の呼び出しの行方が気になるのが実を言うと本音である。
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ポンコツ(プロフ) - すっごいドンピシャに好きな作品でした!! (2022年11月8日 18時) (レス) @page45 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
澪奈(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!!次回作も楽しみにしています! (2021年3月9日 21時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - さねみんなら、一生お世話されたい!!楽しい作品だったぜィ(^^) (2021年3月9日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 完結おめでとう!!とにかく可愛らしくて勝手に2人の保護者面して見守っておりました…。ゆっくりと2人のペースで進んでる姿が本当に見えてきてこの先も笑い合っていくんだなって思うと本当に素敵な2人!最高なお話をありがとう!次回作もゆっくり頑張ってね!!! (2021年3月9日 20時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - もしゃこうさん» コメントありがとうございます!この作品を最後まで読んでくださり本当に嬉しいです、、!次回作も見てくださるんですか!?ええ嬉しい涙ありがとうございました、! (2021年3月9日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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