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 土方十四郎に私の正体がバレてしまい、謎の交換条件として恋人のフリをすることになった翌日の出来事。
 つまり無理矢理させられる事になったお見合いの前日。私は自宅で箪笥(タンス)の目の前で1人佇み溜息を静かにこぼしていた。

「似合ってる、…か」

 私の脳裏によぎるのは先日あの男に言われた言葉。似合ってる。どうにもあの時の土方さんの顔が頭から離れられない。あんな風に笑う人だったっけ。いつも瞳孔開きっぱなしで顔で人を殺せそうな雰囲気を醸し出しているからこそ違和感でしかなかった。まあ別にきゅんの言葉も出なかったが。
 だが、あの笑顔ひとつでそこら辺の女の子達は簡単に堕ちてしまうだろう。破壊力はそれくらい膨大だ。
 ところで話を戻そう。私は今自宅の箪笥(タンス)の前で1人睨めっこをしている。それは何故か、答えは着物がないからだ。私もいい歳した大人だと言うのは重々承知なのだがどうにも着物ひとつに高額を支払う程懐は温まっていない。
 つまり手持ちの着物は数える程しかない。何着か持っているがその手持ちの着物の色だって紺、黒、茶…柄もデザインも年齢に沿わず地味なものばかり。だって派手なの高いんだもん。
 じゃあこの地味な配色の着物を着て明日の見合いに挑むのかと聞かれると首を縦に触れないのが苦渋の決断である。色男なのだ。相手が。認めたくないが、なかなかのイケメンの部類に入る男。
 つまり私の手持ちの地味な着物じゃ彼の隣に並んで歩く事など到底できっこない。ああ普通の容姿ですみませんね。やるなら全力でやらないと多分土方十四郎という男に殺られてしまう。この見合いが成功しなければ私の身柄は即確保だ。勘弁して欲しい。

「買いに行くしかない」

 買い物に行くのは面倒だが仕方ない。とにかくあの見合いを破棄出来たらこっちのもんだ。我慢するのも明日のみ。いつ素性がバレるか分からず警察相手にビクビクして生きるより1日警察の恋人になる方のが幾分かマシだ。やってやんよワイやってやんよのスタンスで意気込んでみるのも悪くないだろう。
 丁度可愛い柄の着物も欲しかったし、自分にご褒美って考えるとバチも当たらないはずだ。って事で早速出かけよう。帰りにプリン買って帰ろ。

着物→←要件



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いくま(プロフ) - ふぉい!さん» 選ばれたのは綾〇ですよ((ニコッ (2018年7月24日 8時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
ふぉい! - 選ばれたのは綾鷹wwww (2018年7月2日 19時) (レス) id: 1633712eeb (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - マピトさん» コメントありがとうございます。一番だなんてとんでもないです。。。私もずっと土方さん推しなのでマピトさんの小説読んできます! (2018年4月5日 14時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
マピト - 今まで見てきた小説の中でこの小説が一番良いなと思いました。 私も土方オチの小説を書いているので見習いたいと思います! (2018年4月5日 11時) (レス) id: 9353c4256d (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます。瞬時に思って頂き光栄です、笑しかし文才が皆無なのでこらから無茶苦茶展開になると思いますが、これからもよろしくお願い致します。 (2018年4月4日 12時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年4月2日 20時

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