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警戒 ページ8

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「さっきから2人でコソコソと何してんだ?」

 土方さんとの交渉成立後、自身の背中に近藤さんの声が重なり思わず「いえ何でも」と、我ながら挙動不審で目を泳がせてしまうと言うバレバレな態度をとってしまった。
 しかしそれでもこの怪しさ満点の私を疑わない近藤さん。彼は人柄の良さの象徴だろう。良い人過ぎてある意味心配である。

「明後日の見合い、Aと一緒に断りに行ってくる。近藤さんも一緒に来てくれねェか?」

 話を逸らそうと土方さんが煙草を吹かしながら近藤さんにそう言い放った。私自身見合いに参加する事は勿論気は進まない。しかし近藤さんに自分が元攘夷志士である事がバレてしまえば土方さんとの交渉が水の泡。私の平穏な日常は綺麗さっぱり無くなるだろう。それだけは避けたいのだ。

「全然構わねェさ!」

 案の定断る事を知らなさそうな顔をしている近藤さんはニカッと笑い、土方さんの頼みを快く了承していた。そして急にその場に立ち部屋の襖を開ける。

「俺ァ今からお妙さんとデートの約束をした夢を見てな!もし正夢ならお妙さんが待ってるかもしれねェしちょっと出掛けてくらァ!」
「いやそれ絶対正夢じゃないだろ」

 土方さんの冷静なツッコミに聞く耳も持たない近藤さんは「じゃあな!」と私達に手を振り、部屋から出て行った。強制的に2人きりの空間にさせられてしまった私は何か話そうと話題を考えるも出会って数日で仮の恋人にさせられた挙句彼のご機嫌取りをするのも馬鹿らしく思えてしまったのでそのまま無言を貫いた。何なら要は済んだし帰りたいと思っている。
 灰皿に吸っていた煙草の吸殻を押し付けて呑気に煙を口から吐き散らしている隣の野郎に帰りたいアピールをするも全く気づいてもらえない。それどころか私のこの視線さえ見向きもしない。どう言う事だよ眼球ついてんのか。

「…何だ」
「あ、いや」

 やっと私の視線に気がついた彼は瞳孔をかっ開きながら私の方へ顔を向けた。視線を送っていたのは事実だがいざ顔を向けられると口籠ってしまう。と言うか顔怖いて。攘夷志士向いてるんじゃないか。すると急に土方さんの顔が私の方へ近づいてくる。いや近くね?と思った瞬間彼の手は私の髪にそっと触れた。

「髪、今日は上げてんだな」
「え?あ、今日はたまたま…」

 言葉の意図に分からないままとりあえず私はそう答えた。すると彼は今までの強面を忘れる程の穏やかな表情のまま「似合ってらァ」と静かに笑ったのだった。

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いくま(プロフ) - ふぉい!さん» 選ばれたのは綾〇ですよ((ニコッ (2018年7月24日 8時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
ふぉい! - 選ばれたのは綾鷹wwww (2018年7月2日 19時) (レス) id: 1633712eeb (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - マピトさん» コメントありがとうございます。一番だなんてとんでもないです。。。私もずっと土方さん推しなのでマピトさんの小説読んできます! (2018年4月5日 14時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
マピト - 今まで見てきた小説の中でこの小説が一番良いなと思いました。 私も土方オチの小説を書いているので見習いたいと思います! (2018年4月5日 11時) (レス) id: 9353c4256d (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます。瞬時に思って頂き光栄です、笑しかし文才が皆無なのでこらから無茶苦茶展開になると思いますが、これからもよろしくお願い致します。 (2018年4月4日 12時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年4月2日 20時

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