銃弾 ページ39
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「怖かったんだ。沢山の生命を奪ってきた癖に今更幸せを掴もうとしているなんて、虫のいい話にも程があるだろう。だからその気持ちに蓋をしたんだ。そして常に自分にこう言い聞かせていた」
─────好きになってはいけない、と。
「まあ、ただのおまじないと言われたらその通りだ。でもこうでもしなきゃ惚れた男に全てを持っていかれそうになるんだ。気が付けばその足は動いてる。気が付けばその心は開いてる。気が付けば……そいつは恋に落ちていた」
我ながら小っ恥ずかしい台詞を言えたものだ。しかも語り相手があの高杉晋助である。何となく気まずい空気になってしまった感が否めなくて仕方なかった。
「…だからどうしたって話だけどね。結局その馬鹿なヒロインは自分の気持ちを押し殺して護った気になって、ノコノコと犯罪者組織に着いてきた訳さ」
後悔はしていない、筈だ。頭の中ではちゃんと処理をして来た。もう江戸の街には戻れない事。もうあの甘味屋では働けない事。もう平和な日常は戻って来ない事。もう、────もう、土方さんに会えない事。全部全部分かっていながら此処に来た。
暫く私は何も喋らなかった。かと言って高杉も口を開こうとしなかった。沈黙の空間が続く中、口を開いたのは私ではなく煙管を持った妖艶な雰囲気を纏う男だった。
「喰えねェな」
たったひと言、高杉はそのひと言だけ発した瞬間、私の頬に銃弾が掠った。頬の皮膚から切り口が開き、真っ赤に照り輝く血液がたらりと伝った。きっと掠ったのはわざとだ。本当なら私の心臓部を一撃で放てる能力を持っている人材であるにも関わらず、高杉の命令でわざと私の頬を狙ったのだ。しかも頬の上の一番肉付きが出ている部位。ピンポイントで狙われたのだ。高杉の部下だ。手練な奴以外置くわけが無い。
「ああ、喰われるつもりはないよ。どうやら女ってモノはどこまでもヒロインになりたいのかもしれない」
口角を上げた。目は笑っていなかった。瞳孔を開き、彼の真似をするかの様に私は一歩ずつ後ろへ下がった。高杉はそれを見ていた。そしてふう、と口から煙を吐いた瞬間。
「A。最後にひとつだけ聞かせてもらおうか」
「何だい、長ったらしいのは辞めてくれよ？」
足を止めた。丁度私と高杉と同じ距離にある場所に刀が置いてある。私は目にかかるかかからないかくらいの前髪を掻き上げた。
「テメェは最初から、そっちなんだろ」
高杉はそう言った。何も笑っていなかった。
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いくま(プロフ) - ふぉい！さん» 選ばれたのは綾〇ですよ((ﾆｺｯ (2018年7月24日 8時) (
レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
ふぉい！ - 選ばれたのは綾鷹wwww (2018年7月2日 19時) (レス) id: 1633712eeb (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - マピトさん» コメントありがとうございます。一番だなんてとんでもないです｡｡｡私もずっと土方さん推しなのでマピトさんの小説読んできます！ (2018年4月5日 14時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
マピト - 今まで見てきた小説の中でこの小説が一番良いなと思いました。 私も土方オチの小説を書いているので見習いたいと思います！ (2018年4月5日 11時) (レス) id: 9353c4256d (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます。瞬時に思って頂き光栄です、笑しかし文才が皆無なのでこらから無茶苦茶展開になると思いますが、これからもよろしくお願い致します。 (2018年4月4日 12時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
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