主人公 ページ38
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「握れと言ったら……どうする？」
命令形の様に聞こえるがこれは命令じゃない。高杉晋助という男はそんな野郎ではない。私は試されている。今ここで「握らない」という選択をすればきっと野郎はただひと言「そうかい」と答えるのだろう。そして私がひとつ返事で頷けばあの不気味な笑みを浮かべて刀を渡すのだ。
目の前に二つの選択肢が施されている。どちらを選ぶのかは勿論私次第であり、この選択がこれからの私の運命とやらを変えてしまうのだろう。運命だなんてロマンチックな言葉、まさか鬼兵隊の船で使うとは思ってもいなかった。それくらい私は今、とてつもなく緊張していた。表情こそ出ていないが心臓の音は煩く鳴り響いたままだし、多分高杉にもバレていると思う。
今更ながら、私は迷っていた。
もしここでこの刀を振るってしまえば完全に真選組の「敵」として存在する事となるだろう。そう、ただそれだけの事なのに躊躇っている自分が居る。それは何故か。とぼけたフリをするのももう疲れた。自分の本当の感情を偽るのも馬鹿げた。正直に言おう、私は真選組の敵にはなりたくない。
「ねえ、高杉。今からとある女の話をしていい？」
刀を床に置いた。私は刀の代わりに「一人の女」がほざく戯言とやらを高杉に提供しようと思う。すると意外にも高杉は煙管を片手に持ったまま口から白い煙を出して黙り込んだ。これは肯定の意として捉えてもいい筈だ。私は静かに溜息を吐き、自嘲じみた声で話し始めた。語り、というには少々内容が面白くないかもしれない。それでも私は「一人の女」としての感傷に浸ってみたかったのだ。
「
「ヘェ、平凡な女が主人公か。よくある話だなァ」
「まあ話はここからよ。その女は他人との関わりを避けて生きてきたんだ別にそれをカッコイイだなんて思った事はないよ。でも対人関係は昔のイザコザとやらでもう懲りていたのさ」
その「ヒロイン」について私は高杉に語った。高杉は最初こそ反応していたが私が話し出すうちに相槌も何もなく静かに私の話を聞いていた。構わず私は話し続けた。
「そのヒロインはヒロインになりたくなかったんだ」
「…何故？女ってモンはいつでも自分が物語の主人公だと思うんじゃねェのか？」
「その通り。でもそのヒロインはかなりの臆病者だったんだ。自分がヒロインになって幸せになる事を恐れた」
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いくま(プロフ) - ふぉい！さん» 選ばれたのは綾〇ですよ((ﾆｺｯ (2018年7月24日 8時) (
レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
ふぉい！ - 選ばれたのは綾鷹wwww (2018年7月2日 19時) (レス) id: 1633712eeb (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - マピトさん» コメントありがとうございます。一番だなんてとんでもないです｡｡｡私もずっと土方さん推しなのでマピトさんの小説読んできます！ (2018年4月5日 14時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
マピト - 今まで見てきた小説の中でこの小説が一番良いなと思いました。 私も土方オチの小説を書いているので見習いたいと思います！ (2018年4月5日 11時) (レス) id: 9353c4256d (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます。瞬時に思って頂き光栄です、笑しかし文才が皆無なのでこらから無茶苦茶展開になると思いますが、これからもよろしくお願い致します。 (2018年4月4日 12時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
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