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迷惑 ページ32




 攘夷浪士の中でも最も過激で最も危険な男、高杉晋助。その紫がかった髪に蔑む様な翡翠色の瞳。攘夷戦争時代、鬼兵隊総督として隊を率い戦場を狩る姿はまさしく孤高の天才。さほど仲が良いとは思っていなかったが何かと縁があり寺子屋時代からの幼馴染の1人だった。
 子供の頃は全く話す事は無かったものの、桂と坂田と3人でつるんでいたのを何度か目撃した事はあった。よく絡まれる事はあったが人前に出ることや目立つ行為を避けていた私は何かと逃げ回っていたのを記憶している。
 そんな男が今更私に何の用があって呼び出されなくてはいけないのだ。しかもアイツと縁を切ってもう10年。色々と都合がおかし過ぎる。不審に思った私は最近あった出来事を順々に思い出していく。

「…」

 もしやと思った。もしかしたら、確証はないが、仮に私が真選組の土方十四郎と関わりを持った事がアイツらにバレていたとしたら。いや、流石にそれはないのでは。仮に土方十四郎と接触したとしてもそれはほんの数日。
 だがそれ以外にこれと言って思い当たる節がない。確かに私は二度ほど真選組屯所に足を踏み入れた事がある。土方十四郎と隣同士で並んで歩いた事もある。嘘の恋人役として見合いに参加した事も勿論、ある。

「…チッ」

 思わず舌打ちをする。これはかなり面倒事に巻き込まれた。きっと高杉は私が真選組と何らかの関わりを持っていると思ったのだ。

「分かってると思うが拒否権はねェ。このままテメェを鬼兵隊本部へ送り込ませる」
「…鬼兵隊が江戸(ここ)に来てるとでも?」
「来てるんだなコレが。黒鬼って言葉を発した瞬間目の色を変えていたよ、あの人(・・・)は」

 私に課せられた選択肢はただひとつだった。以前の私であれば自分の生命が最優先、真選組など知ったことか、と思っていたが。如何せんそういう訳にもいかないようだ。

 ─────迷惑は、かけたくない。

 何故か第一にその考えが浮かび上がった。誰よりも目立つ事や面倒事を避けてきた私が他人を優先してしまうなどこれまでにあっただろうか。否、それどころじゃない。

「鬼兵隊の場所へ連れてって下さい。その代わり交換条件です」
「交換条件、ねェ」
「そう。なあに、簡単な話ですよ。貴方達の事だろうから私の身辺調査はもう済んでいるんだろう。だったらこっちも考えがある」

 口調が段々と、荒くなっていく。

「私に関わった人間に絶対手を出すな。出したら…テメェら全員……殺す」

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いくま(プロフ) - ふぉい!さん» 選ばれたのは綾〇ですよ((ニコッ (2018年7月24日 8時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
ふぉい! - 選ばれたのは綾鷹wwww (2018年7月2日 19時) (レス) id: 1633712eeb (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - マピトさん» コメントありがとうございます。一番だなんてとんでもないです。。。私もずっと土方さん推しなのでマピトさんの小説読んできます! (2018年4月5日 14時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
マピト - 今まで見てきた小説の中でこの小説が一番良いなと思いました。 私も土方オチの小説を書いているので見習いたいと思います! (2018年4月5日 11時) (レス) id: 9353c4256d (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます。瞬時に思って頂き光栄です、笑しかし文才が皆無なのでこらから無茶苦茶展開になると思いますが、これからもよろしくお願い致します。 (2018年4月4日 12時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年4月2日 20時

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