日々是平穏なり【土方十四郎】

大丈夫 ページ2

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　それからというもの。ヴーヴーヴーと、私のスマホのバイヴ音が部屋中に鳴り響く。メールの相手を確認しようとスマホ画面を起動すると見慣れない名前がひとつ。

「…げ、土方十四郎」

　自分から出る精一杯の低い声が出てしまう。とりあえず内容確認をすると、画面に表示された要件は"今から屯所に来てくれ"との事。メールでさえも強引で勝手だ。
　出会ってまだ1日なのにここまでするのか？普通。普通という言葉が通じないのか。というか、屯所に来いって事はあの真選組の中に入れって事だろうか。いや無理だろ。…無理だろ。
　そもそも何故私がこんな目に合わないといけないんだ。平穏な日々をただ望んでいただけなのに。いきなりこんな非凡な日常に移り変わるなんて聞いてない。

　 ────毎日変わったこともなく、穏やかな日々を送りたい。

　その思いは今も昔も変わらない。あれだけ不穏な毎日を過ごしてきた私からしたら、面倒事に関わるなんて真っ平御免である。溜息だけがこぼれる。だるい作業だ。でも行かなきゃ後が怖い。確実に殺られる。罰せられる。終わる。

「つまり行くしかない」

　とりあえず私の持っている着物の中でお気に入りな物を選び、髪を結い上げて出掛けた。恋人役って言われたがまだ返事してないし大丈夫な筈。そもそも了承する訳がない。大丈夫なことを信じよう。いやそう信じさせてくれ。頼む、300円あげるから。

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