勝手 ページ1
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「ちょっと恋人役になってくれ」
「は?」
今日も賑やかな江戸の街を散歩してたらこれだ。いやどういう事だよ誰か説明してくれ。思わず私の口から間抜けな声が出てしまった始末である。
「いや、ちょっと意味が分からないのですが」
「アレだ。俺の女になれっつってんだ。フリだけど」
「いや何でだよ」
訳が分からない。初対面で急に恋人役になれって言われてはい分かりましたって言えと。答えは否、NO一択である。断ろ。
「急に言われましてもね。てかまず貴方誰ですか」
「俺か?俺ァ真選組の土方十四郎だ」
「は?」
今コイツ真選組って言わなかったか。あのチンピラ警察って言われてる物騒で有名な集団の真選組って言わなかったか。
「…そんな大層なお方が何故私に」
「あー、なんつーか、ざっくり説明するとだな。見合いが嫌で代わりの女を用意しなきゃいけなくなった。以上だ」
「いやざっくりしすぎだろ」
ざっくりしすぎて逆に清々しいわ。というか何でそんな大層な役に私が選ばれないといけないねん。いや何で関西弁なんだよ。
しかも理由を聞いたら「たまたま通りがかったから頼んだ」なんて。たまたまで済むと思っているのかこの瞳孔開きっぱなしのイケメンが。あれ貶してんのか褒めてんのか自分でも分かんなくなってきた。
「とりあえず無理ですね」
「あァ?彼氏でもいんのか。」
「い、居ないけど」
「じゃあ良いじゃねェか」
「いやすんなりはいって言える訳ないでしょ。私どんだけ軽い女だと思われてんの」
町中で話す内容でもない気がするけど今はそんなことどうでもいい。とにかく恋人役なんてまっぴらごめんだ。しかも警察なんて私の素性がバレたらどう言い訳したらいいのか分からない。
「じゃあとりあえず携帯貸せ」
「…壊す?」
「ふざけんな」
だってそんな怖い顔して携帯貸せなんて言われたら私の新種のスマホがパキッと折られそうって思うじゃないか。
「いいから貸せ」
恐る恐る携帯を差し出し、ピコピコされてるうちに画面に映るのは土方十四郎と書かれたメールアドレス。
「また連絡する。じゃあな」
「連絡するとは」
勝手過ぎる。すれ違っただけで恋人役になれだ連絡するだ本当に勝手過ぎるぞ土方十四郎。顔が良いからって何でも許されると思ってやがる。
「そういやテメェ、名前はなんていうんだ」
「え、私?は、…橋本Aです」
「Aか、じゃあな」
「ちょっ…」
第一印象は、"とても強引で勝手な人"だった。
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いくま(プロフ) - ふぉい!さん» 選ばれたのは綾〇ですよ((ニコッ (2018年7月24日 8時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
ふぉい! - 選ばれたのは綾鷹wwww (2018年7月2日 19時) (レス) id: 1633712eeb (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - マピトさん» コメントありがとうございます。一番だなんてとんでもないです。。。私もずっと土方さん推しなのでマピトさんの小説読んできます! (2018年4月5日 14時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
マピト - 今まで見てきた小説の中でこの小説が一番良いなと思いました。 私も土方オチの小説を書いているので見習いたいと思います! (2018年4月5日 11時) (レス) id: 9353c4256d (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます。瞬時に思って頂き光栄です、笑しかし文才が皆無なのでこらから無茶苦茶展開になると思いますが、これからもよろしくお願い致します。 (2018年4月4日 12時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
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