親 し き 仲 に も 礼 義 あ り 6

260 清算しようか ページ10

勇人「知り合いって…男…？」




まさみ「違う違う！女の子！！
クライアントの軽い質問に答えてもらってたら、どう考えてもAちゃんの事にしか聞こえなくて…」




…どうゆう事…なの？




確かに、受付の仕事は相談の内容とかを軽く聞いたりするのもあるけど…



それでどうしてウチの話が出てくるんだろう？



『…えと、なんて言われたんですか？』





まさみ「この紙に書いてもらってあるから…」



そう言って差し出された紙。




いつもクライアントの話を聞く前に目を通していた書類だ。




うつ病の傾向として、

睡眠時間はどのくらいか…とか


気持ちが不安定になるか…とか


いろんな事を書くアンケート用紙。





その下に今悩んでいる事や、最近感じている感情はどんなものかを書く欄がある。





普通の人なら…



嬉しかった事を書く人が多かったけど…





この人は違う。




何だか…後悔した辛い感情ばかり長々と綴られている。




『…この子の…なまえは？』





まさみ「えっと……葉月ミカさんだったかしら？
やっぱりAちゃんの知り合い？」





葉月 ミカ





間違いない。






ミカだ。







『…彼女は今どこに？』




まさみ「待合室で待ってるけど…
お話し…してみる？」



『はい、話したいです。直ぐに呼んでもらっていいですか？』




それから皆は部屋から出て行って…







直ぐに人が入って来た。






ミカ「……A……なの…？…本物？」




中に入って来た彼女の顔は
少しやつれて、疲れ切ってるように見えた。





『うん。久しぶりだね、ミカ』





そう言うと、思い切り体を抱きしめられた。





ウチを包む腕は震えてる。





『…ごめんミカ、ウチ耳が聞こえないから顔を見て話しをしよっか』




そう言うとミカの震えが止まった。




そのままゆっくりと体を離されて、

今にも涙であふれそうな彼女の瞳と目が合う。





ミカ「…言いたいことはたくさんあるけど…


どうして何も言わずに居なくなったりしたの！？」






肩を思い切り掴まれて、
切羽詰まったような顔でそう言い切るミカ。





『それはごめんね？ウチもよく理解できなかったから、挨拶する暇もなかったの』





耳が聞こえない事が…





久し振りに残念だと思えた。






ミカの声はあの時から変わってるのか分からなかったから。






でもそんな事より先ず最初は…






今までの事全部、









清算しようか

261 思った事と違う事→←259 Open

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す