親 し き 仲 に も 礼 義 あ り 6

287 赤葦side ページ37

ここの家は本当に落ち着く。



何度も来たし、何度も世話になった。





…何より好きな女の子と一緒に居させてくれた。





本当に大切で…たくさんの思い出が詰まった場所。







それが今はこんなに心地悪く感じる。





その原因は俺の言葉なんだけど
知らずにいるなんてできない。






母「…あたし達、Aの優しさに甘えてた。

あの時…本当は2人とも上手くいってなくて、それでお互い違う家庭を持ったの。京治に言っても分かんないだろうけど…さ」




赤葦「うん、俺には分かんない。

…でもちゃんと教えてほしいよ、Aだって何も知らなかったんだろ？」




父「…Aには言えるはず無いだろ。

あいつはなんだかんだ言って優しい奴だから…
俺達がそうなった原因は自分じゃないかって責める。…それは俺たちだって嫌だったんだ」



赤葦「…二人の仲が上手くいってなかったのは分かったよ。でもそれでどうしてお互い家庭を持とうと思ったの？

しかも何で今ここに居んの？」




母「…家庭を持ったのは…Aを心配させない為。

あたし等が離婚した事を気にしなければあの子だって自分を責めたりしないでしょ。そんで今ここに居んのはAがいつ帰って来ても迎えてあげられるようにだよ。

京治には本当迷惑かけたと思う。京治ママにもAと別れた事聞いた。…本当ごめんね」




父「…京治、別にお前に理解しろって言ってるわけじゃない。これは俺達大人の勝手な都合だ。

ただ…俺達は今だってAの事を大事な娘だと思ってる。それだけはお前にも分かってほしい。もちろんお前も息子みたいに大切だ」




もう本当に…流石Aの両親だと思う。



話された事に全て納得しちゃうのも、
その話しが全て嘘じゃないって事も…




Aが話すのと同じ言い方。




一言一句に気持ちが込もってる。





…俺がその言い方に弱いって知ってて言ってんなら
酷いもんだと思うけど…




赤葦「…二人の気持ちは分かった。

俺にとっても二人は第2の親みたいに大切だよ。だから余計に….そうなってたのが信じられないし、それに気付けなかった自分が悔しい」




母「…京治は何も悪くないよ。

巻き込んじゃったのはあたし達の方なんだから」




赤葦「悪いよ。俺だってAの優しさに甘えてきた奴の一人だから。

でも今はもう違う。今はAを守ってやれるくらい大人になった」






そう…









俺がAの隣に居るんだ。

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