親 し き 仲 に も 礼 義 あ り 6

269 黒尾side ページ19

2年ぶりに見たAちゃんの顔。





大人っぽさが増してて…


頼り甲斐のある雰囲気もさらに増してた。






それがどれだけ彼女の生活が大変だったかを示してる。




目は見えるようになっても耳は聞こえないみたいだし…




それで外国に居たのが信じられない。






でも今こうやって俺の近くにいる。





ここまで来れたのはきっと…



さっきまで居た女の人や、子供達…


そして勇人君のおかげなんだろう。







さっきAちゃんに会う前に勇人君と少しだけ話をした。





勇人「…なんで…あんたがここに…」




黒尾「いや……それは俺も聞きたい…
てか…まさかだけどAちゃん居るのか…？」




ただミカを迎えに来るつもりだったのに、まさかの展開に心臓が音を立てて大きく跳ねた。





勇人「…て事はさっき来た女の人…
Aの親友っつってた人…？」




黒尾「ミカやっぱAちゃんと話してんのか…」




なんて会話をした。




久しぶりに会った彼もまた、一段と成長してて…



少し不安になった。




Aちゃんの隣に今いるのは…

赤葦じゃなくて勇人君なんじゃないか…って。





こんな事思うのは失礼だって分かってるけど…



今までのAちゃんと赤葦を見てきて、素直に応援なんてできるはずなかった。




だからそうゆう関係じゃないって聞けて安心した。







…まだ赤葦の心を癒せる人がいる…って。





俺の前では辛いそぶりなんて一回も見せたことのない赤葦が心配だった。




いつも週末はどこかに行って、バレーのサークルが終わってもすぐにバイト。




体だって疲れ切ってるだろう。





でもそれは全部Aちゃんを見つける為。






だから無理に止める事ができなかった。






何とかして会わせてあげたいって気持ちだけが募るばかりだった。






でも今はそんな気持ちを募らせるだけじゃなくて…



実行する事ができる。






無理に会わせるわけじゃないから…







だからもう少し待っててほしい。







Aちゃんの事。







次こそは絶対…








2人の事助けてみせる。








だからもう少し…


ほんの少しだけ…








頑張れよ、赤葦。

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