親 し き 仲 に も 礼 義 あ り 5

205 赤葦side ページ5

Aが外国に行ってからもう1ヶ月。


季節はもう冬の真っ只中…







赤葦「…俺の誕生日…覚えてないよな…」




学校までの道のりを歩きながら
ふと出た言葉。






いつもなら俺の家に来てお祝いしてくれて…



俺のお願いを何でも聞いてくれて…




『いつも一緒にいてくれてありがとね』


って優しく笑うんだ。






ありがとうって言いたいのは俺の方なのに。



言わなきゃいけなかったのは断然俺だった…なのに







親し過ぎた関係の俺は
そんな当たり前の事でさえしなくなってた。






Aはどんな些細なことでも…

ありがとう

ごめんね


この言葉を忘れなかったのに。






喧嘩した時は俺もAもそれどころじゃなかったけど…



その後にあの時はごめんねってちゃんと言ってくれてた。






なんて…今考えてももう遅いんだ。





Aは今…外国で…
何も知らずに生活してる。








…そんなAに少しでも近づく方法なんか今はまだ分かんない。





海外に行く金だって無いし
世界は広過ぎてどこにいるのかなんて分からない






…でも決めたんだ。






絶対見つけ出して会いに行く…って。









Aが頑張ってるのに俺だけ何もしないなんてもう嫌だ。






そんなの後悔するだけ。








…だから待っててよ。




絶対…


もう1人にしない。








それに…
俺はきっとAしかもう愛せない。









Aしか愛さない。









…そんな気持ちを胸に秘めながら…









彼女を毎日想い続けた。

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