親 し き 仲 に も 礼 義 あ り 5

229 赤葦京治とゆう名前 ページ29

勇人「…A…？」





『……ん？』





頭の中に今もチラつく名前。




それを振り払うように勇人に目を向ける。




…それでも…


どうしてもさっきから頭をその名が支配しようとする。




勇人「…どうかした？」



『別に何ともないよ？』



勇人「……そう？気のせいかな笑」




『何だよ急に〜笑』




笑いながら会話できてる自分がすごいと思う。





考えるだけでこんなにも胸が苦しくなるのに

顔には全く出さない自分が凄い。






…今は勇人と話してんだ。


他の事は気にするな。




何度頭にそう言い聞かせても言うことを聞いてくれない。





誰かもわからない名前を考えてるよりさ、

先ずはあの男の子の名前を考えようよ。





『名前……

あ！そうだ言いたい事あったんだ！』




勇人「！……ビビった〜…
急にデカイ声出すなよな笑」



『あのね！明日からここに1人新しい子が来るの！
ウチらと同じ病気の子なんだけど…いいかな？』





さっきまで頭の中を埋め尽くしそうになってた
その名前を

あの子の事で塗りつぶしていく。



勇人「…新しい子…？
それって…Aが最近病院通いしてた理由？」



『あ…やっぱ気付いてたんだ…』



勇人「そりゃ気付くだろ。
俺達だけ除け者だったしな」




言葉は結構冷めた言い方だけど



…そんなつもりじゃないって分かってる。



『まぁその子が問題なの。
名前が…無くてさ、考えてあげたいな〜って思って』



勇人「…は？…名前が無い？」





…普通の反応だよね。

名前が無いなんて言ったら驚くよ。



『…色々あったみたいでさ、いつまでもあの子その子なんて呼んでらんないでしょ？それに一緒に暮らすなら名前だって考えてあげたいじゃん』



勇人「…俺は別にそれでもいいけど…

Aはこれからどうすんの？」





…これから？




『そりゃもちろん……あの子と暮らして…』




あの子と暮らして……



…そんで？


そっからどうすんの？




勇人「…それならそれで俺的にはいいけどさ、

Aは…変われんの？」




『…いや…ウチも今気付いた…』






あの子と生活するのは嬉しい。





でもその後のことは全く考えられてなかった。









『…この事まさみさん達に言っといて？
ウチ先生に聞きたい事あるから電話してくる』






勇人「…うん分かった」







部屋を出ていく勇人を見送ってから






先生に電話をかけた。

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