✿大奥に咲く七輪の華✿

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"近くの甘味屋で辻斬りが出た”

街中を走り回る人々を見て、
只事ではないと思い横尾さんと急ぎ家を出て
甘味屋へと向かった。


そして今はこの状況。

何だ……この男は……。

目の前には倒れている藤ヶ谷様。

……を、抱いている北山様。

北山様の表情を見る限りこの男は只者はない。


「裕太……おっと、"上様”だな。
よろしく伝えといてくれ。
こんな弱い側近並べてたら直ぐに首取られるぞってな。」

男は気を失っている藤ヶ谷様を見て鼻で笑う。



剣術に優れている藤ヶ谷様がやられたのか？

‥‥上様の名を口にしたこの男に。

鼻歌を口遊みながら
入口付近で倒れていた仲間の男達にトドメを刺していく。

返り血も気にすることなく
仲間だったはずの男達を次々と斬りつけて行く。

その狂気的な行動に絶句する。




『……お前は。』

口を開いた俺の方を向く。

『……上様の何だ？』

ゆっくり刀を抜く。



「…っ！宮田！！やめろ！！！」

北山様の制止も耳に入らない。


この男を‥‥‥


男はフッと笑い、自分の額を指で撫でる。

「玉森裕太を斬る男だ。」





‥‥‥このまま野放しにはできない。

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