✿大奥に咲く七輪の華✿

✿02 ページ4

「まず大奥には序列がある。
【上様】がこの大奥では全て。上様のルールに従う。
そして、
その上様を支えている側近【大奥総取締役】に御二方。
そしてその下に某【大奥別当】となっている。」


『‥‥なるほど。』


大奥では縦社会なんだなあ…。


「そして大奥では【御目見え以上】【御目見え以下】と
大きく二つに分かれている。
御目見え以上でなければ上様に会うことも許されない。」


えぇ！？そうなのか‥‥。厳しい世界だな。


『‥‥となると私は御目見え以下ですか？』


俺の問いかけに横尾さんは首を横に振る。



「そなたは名もしれた旗本のご子息。
大奥に入る前に出家から金銭を沢山預かった。
容姿も悪くなく、
今ここに来るまでに一般的な所作も
ある程度身についているように感じた。
そのため御目見え以上で勤めることになる。
恵まれた生い立ちで良かったな。」


横尾さんの言葉に『……はぁ。』と気の抜けた返事をする。



「まずは全ての所作を身につけてから。
大奥総取締役のお二方のお許しが出ない限り
上様にご挨拶は叶わぬ。
ここの者達は上様のために身を粉にして働いておる。
そなたも一段と励めよ。」


肩をポンポンと叩かれ激励を受けたが
巻物を読み進めると覚えることが多すぎて
頭がパンクしそうだ‥‥。



すると‥‥‥



《失礼します。》

襖の向こうから声が聞こえた。



「宮田。そなたと相部屋になる者達を呼んでおいた。
同じく御目見え以上の者達だ。入れ。」




横尾さんの呼びかけに襖が開き、

二人の男が広間に入ってきた。

✿03→←✿01

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す