i・ko・i [12/25更新] (ページ14)

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潤『二課にはいつから？』

「半年前に異動して参りました」

それまでどこに？と聞かれ、お客様相談室におりましたと返すと大きく溜め息をつく。

一旦外した視線がこちらに戻った瞬間、またフリーズした潤くん。何？と思ったら、私の目を見ながら、独身？と呟く。

ああ、指輪と時計だ。婚約指輪の代わりの腕時計のことを潤くんと瞳子ちゃんは知ってる。
結婚してるはずの私が指輪はおろか、時計まで着けてなければ固まるのも無理はない。

しかもその報告、出来てないし。

「はい。恋人はおりませんし、募集もしておりません。

ただ、今、その事について触れる必要があるとは思えませんが」

ここで誤魔化しきれなかったら初対面の振りをした意味がないって、潤くんを怒らせないようにって思うも、焦ってつい棘のある言い方になってしまい、"はぁ！？"と、瞬時に表情が歪んだ潤くん。

そんな潤くんに危機を感じたのか、

櫻井『松本さん！いくら上司でも初対面の女性社員がいきなり独身かを聞かれたらさすがに・・・

藤野は人懐っこいんですけど、ちょっと人見知りなんです。

松本さん、ご自分が眼ヂカラ強い系イケメンなのを忘れてますよ？(焦)』

櫻井くん、ごめんね？慌てさせちゃって。多分、そうじゃなくて潤くんは隠されてたことが次から次へと出て来てて怒ってるだけ。

潤『ああ、ハラスメント行為じゃなくて、残念ながら"触れる必要"がある。

一応、部下の結婚、自身や妻の妊娠は把握しておく必要がある。配慮すべき点が生まれるからね。

っていうか、告白もしてないのに振られた気分。生憎だけど、オレも恋人は間に合ってるってのだけは伝えとく。

よろしくね？藤野サン』

イヤミたっぷりに私の名前を呼んで、頬を緩めることなく冷たい視線をこちらに向ける潤くんに、よろしくお願いしますと返して一礼し、デスクを離れる。

はぁぁ、最悪だ・・・

腰を下ろすと、溜め息つきたいのはコッチだよ。なんで松本さんにケンカ売ってんだよと櫻井くん。だって課長の顔、怖いんだもん。

確かにあの人は眼ヂカラ強いから誤解されやすいけど、今日の歓迎会は控えろよ？あの人にだけは喧嘩を売るなと言われる。

何それ、課長と会話なんかしたくないし、一次会で帰るしと言うと、うん、オレもそのつもりって櫻井くん。

聞くところによると、二課単独での歓迎会は無理だったらしい。