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頭に穴が空いたように記憶が溢れ返ってくる。
死の淵をさ迷っていた時の、死人のように美しいと思ってしまった寝顔。僕を拒絶し、自分は汚い人間なのだと自らを呪っていた横顔。
「私も貴方の終わりがみたい」そう言って、初めて見せてくれた幸せそうな笑顔。
時折僕だけに見せてくれた、美しい夢のような恍惚とした表情も.......。
どんな彼女も手離したくない、と強く思う。
「Aは、どうしたい？」
Aの瞳が揺れた。
僕はずるい。いつもAに大事な選択を迫ってしまう。彼女なら一番正しい選択をしていると信頼しているから.......いや、Aが押しに弱いと知っているからだ。
こうすればAがなんて返してくれるのか、もう、わかっているようかものだった。
何より僕自身が、それが彼女の本心のはずだと信じたかったのかもしれない。
「.......わたし、」
低くも高くもない、中立的な声でAは呟いた。
「私てっきり別れを告げられるとばかり.......。イライさんはゲキウさんと、大切な人と一緒になるのだと。もうきっと、これきり会うことは無くなるんだって、最後だって思ってたんです.......」
壊れた人形のようにぽっかりと空いた両目が一瞬、水鏡のように光る。次にAが瞬きをすると、その両目から糸が切れたかのように大粒の涙が溢れた。
「半分はずれで、半分正解」
その涙に僕は、安心感を抱いてしまうのだ。
「僕はAを大切だと思っているよ。こんなにも想ってるし、一緒になりたい」
「でも、指輪だってあんなに大切そうに、していたじゃありませんか」
ああ本当に、かわったよAは。
今も昔も強がりで、一人で何でも出来てしまって、素直に人に頼れないし、それどころか我慢してばかりで甘えられない所は変わりないけど。
でも僕の変わりに、よく泣いてくれるようになった。
泣けるようになってよかったと、どうしても安心してしまう。
必死に嗚咽を抑えているのか、Aの肩は時折大きく震える。「すみません」と何度も謝りながら、溢れてくるものを無かったことにしようと、必死に拭いながら。
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イキテル(プロフ) - 夜さん» こんなに前の作品にコメントありがとうございます！ 今はスランプ気味で中々お話が思うように書けていませんが、コメントを励みに頑張ります。また機会があればとこかでお会いしましょう！ (2022年1月31日 0時) (
レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 初めまして。この作品を久しぶりに読み返させて頂き、改めて素晴らしいなぁ、と感じました。更新されるのを今か今かと楽しみにしていた日々が懐かしいです。当時はコメントをする勇気がなく、1、2年越しにはなってしまいますが、完結おめでとうございます！ (2022年1月30日 3時) (レス) @page45 id: 1656e46327 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - イライ大好きでなかなかない小説の中でこんなに面白い小説をただで読めるのが夢のようです！本当に面白かったです！更新お疲れさまでした、完結おめでとうございます！ (2021年9月3日 8時) (レス) id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
イキテル(プロフ) - 桃花さん» 最後まで読んでいただきありがとうございました。またどこかでお会い出来れば幸いです。 (2020年12月11日 0時) (レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
桃花(プロフ) - 転生ものが大好きなので、主様の素敵な小説に出会えてよかったです(*^▽^*)完結おめでとうございます、ありがとうございました！ (2020年12月10日 21時) (レス) id: 7b3a824d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イキテル | 作成日時：2020年8月6日 0時
