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店の奥でイソップと店主が話している声が聞こえる。
近場で祭りをやっているせいか ここ最近は珍しく昼から大盛況で、ようやく仕事が終わる頃、Aは死んだようにカウンターの席に突っ伏していた。
こんなに忙しくなるとは思ってもみなかったのか、あのイソップに「手伝ってくれ」と頼み込まれた俺は、ここにいる間この店を手伝う事にした。
「A」
ビクともしないAに声を掛けると、不機嫌そうに唸るような声が聞こえてくる。
寝ているのかと彼女に近づくと、少し髪の毛がかかったその眉間にはシワが寄せられていた。
「シワ、寄ってる」
ぐりぐりと親指で眉間のシワを伸ばしてやると、死に顔のように綺麗な顔へ早変わりする。
口を小さく開いて、頬は薄く。
最近眠れていないのか、目の下の血色が心做しか悪く見えた。
ほんの好奇心で、Aの柔らかそうな髪の毛に指を通して頭を人撫でする。
細い髪の毛が指の間で絡まりそうだった。
あれだけ忙しく動いたにも関わらず、ふわりとシャンプーのいい香りが漂う。
イライが言っていた「香り」とはこの事だろうか。シャンプーとは一言も言っていなかったが。
多分、もっと違う、何か.......。
そんなことを考えていると、眠たそうな目を擦りながらAがゆっくりと身体を起こした。
「悪い。起こした」
「いえ、大丈夫です」
眠気の残った声でそう言うAはまるで幼い子供のようだ。
小さな欠伸を一つしてから時計を見やったAは、突然頭が覚醒したように椅子から立ち上がると、簡単に身だしなみを整え始めた。
「行くのか」
慌てて店員用のエプロンを畳む小さな背中にそう話しかける。
動きをとめて、彼女は小さく呟いた。
「.......約束をしたので。きっと彼は来ないでしょうけど」
「なら行く必要なんて無いだろ」とそんな言葉が喉元に出かかる。
Aの胸に空いた穴を埋められるのはイライしかいないし、きっと誰にもその代わりはできない。
もし俺や他の誰かがAのパートナーになったとしても、彼女の中にある寂しさと虚しさを倍増させてしまうだけだ。
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イキテル(プロフ) - 夜さん» こんなに前の作品にコメントありがとうございます！ 今はスランプ気味で中々お話が思うように書けていませんが、コメントを励みに頑張ります。また機会があればとこかでお会いしましょう！ (2022年1月31日 0時) (
レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 初めまして。この作品を久しぶりに読み返させて頂き、改めて素晴らしいなぁ、と感じました。更新されるのを今か今かと楽しみにしていた日々が懐かしいです。当時はコメントをする勇気がなく、1、2年越しにはなってしまいますが、完結おめでとうございます！ (2022年1月30日 3時) (レス) @page45 id: 1656e46327 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - イライ大好きでなかなかない小説の中でこんなに面白い小説をただで読めるのが夢のようです！本当に面白かったです！更新お疲れさまでした、完結おめでとうございます！ (2021年9月3日 8時) (レス) id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
イキテル(プロフ) - 桃花さん» 最後まで読んでいただきありがとうございました。またどこかでお会い出来れば幸いです。 (2020年12月11日 0時) (レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
桃花(プロフ) - 転生ものが大好きなので、主様の素敵な小説に出会えてよかったです(*^▽^*)完結おめでとうございます、ありがとうございました！ (2020年12月10日 21時) (レス) id: 7b3a824d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イキテル | 作成日時：2020年8月6日 0時
